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ゆっくりと共同生活 ソファにもたれてテレビを見る俺の周りで、ゆっくり一家がくつろいでいる。 「ゆゆぅ……ゆぅ……」 鼻息を漏らして寝ている、拳ぐらいの子まりさもいれば、 「ゆー……ゆっくち! ゆっくち!」 「ゆんゆん! ゆきゅっ♪」 にらめっこをして、にこにこ笑っている、ピンポン玉ぐらいの赤れいむもいる。 そしてあぐらをかいた俺の膝の上には、母れいむと母まりさが居座る。 「ゆぅ……すーりすーり! ……ゆぅ」 呼吸に合わせておだやかにふくらみ、ときどき頬ずりしている。 その様子は、幸せそのもの。 「れいむ、とってもゆっくりしてるね……」 「ゆー、まりさもだね……」 「赤ちゃんたちも、ゆっくりしてるね……」 「ゆっくち!」 ゆーゆーという相槌が上がる。あふれんばかりの団欒っぷり、ラブラブっぷりだ。 二匹の母親は、ほっぺたをもちっと押し合いながら、俺を見上げる。 「おにーさん、ありがとうね……」 「こんなにゆっくりできるお兄さんのおうちにいられて、れいむしあわせだよ!」 「「ゆっくりしていってね!」」 「そうだね」 俺は左右のゆっくりを交互に撫でる。 饅頭たちがぽよぽよと嬉しそうに揺れる。 「ちょっと降りてな。飲み物、持ってくるから」 「ゆうっ!」 二匹は、ぼよんと跳ねて、だぷっとカーペットに降りる。 バスケットボールぐらいある成ゆっくりだから、かなりの存在感だ。 「おかーしゃんだ!」 「まりさとゆっくちちてね!」 「だめだよ、れーむとゆっくちちゅるの! ゆっくち!」 集まってきた子供たちが、ゆっくちゆっくち、と声を上げる。 「ゆー、みんなでゆっくりするよ! おちびちゃんたち!」 「ゆーん!」 「おかーしゃん、ありがちょう!」 「ゆっくちちゅるー!」 母れいむもご満悦だ。すりすり、すりすりと頬をこすり付けあう。 ゆっくりにとって、「ゆっくり」は命のことば。 ゆっくりするのが大好きだし、それを言うだけでも幸せになれるのだ。 これからの人生で、ずうっと使うことば「ゆっくり」。 だから、なんでもないときでも、どんどん口にしてしまう。 ゆっくりを飼っていると、一日に千回ぐらいゆっくりを聞くことになる。 もちろん飼い主の俺も、その言葉が大好きだ。 そうでなければ、ゆっくりなんか飼ってられない。 「おかーしゃん!」「まりちゃも、まりちゃもー!」 机の陰や棚の下からも、ぞろぞろ、ころころと赤ちゃんたちが出てきた。 母れいむだけではすりすりが追いつかず、母まりさも出動する。 「みんな、まりさもゆっくりしてあげるんだぜ!」 「わーい!」「まりさおかーしゃん、だいちゅき!」「すーりすーり♪」 盛大なゆっくり大会になった。 そこらじゅうが小さな丸いころころで一杯。まるでスーパーのトマト棚だ。 それもそのはず、うちには30匹以上の子ゆっくりたちがいるのだ。 これだけ多いと、親たちも数を把握していない。 俺は立ち上がりながら、三匹ほどの赤れいむと赤まりさを摘み上げた。 広げた手のひらに乗せて、なるべく周りが見えるように運んでやる。 「ゆゆっ? ゆっくりのぼっていくよ!」 「おちょら、おちょら!」 「すーいすーい!」 喜ぶ赤ちゃんたちを連れて、にぎやかなゆっくり大会から離れ、キッチンに入る。 引き戸を閉めて、流しへ向かった。 手鍋をコンロに置き、ころころんと三匹を入れる。 「ゆっくちころがるよ!」「まぁるいおへやだよ!」 「はーい、おちょこだよー」 キャッキャと喜ぶ赤ちゃんたちの真ん中に、お猪口をひとつ、逆さまにして置いた。 「おちょこ、おちょこ!」「れいむたちみたいだね!」 形が気に入ったのか、赤ちゃんたちはさらに喜ぶ。 俺はカチンとコンロの火をつけて、食器棚へ向かった。 「ゆっ? ぽかぽかだよ!」 「あっちゃかくなってきたよ!」 グラスを選び、冷蔵庫から氷を取り出して、入れる。 スコッチの蓋を開けて、注ぐ。 トクトクと溜まる琥珀色の液体を、適当なところで止めて、蛍光灯にかざした。 いい色だ。そんなに高い酒じゃないが。 「ゆっ、ゆっ、あちゅい、あちゅいよ!」 「ゆっくちできない、ゆっくちできないよ!」 「つまみはー、っと」 水割りにしてから、菓子箱を漁った。いいものがない。 食べかけのスナック菓子があったが、開けたらしけっていた。 「あぢゅいい! あぢゅいよぉぉ!」 「たしゅけて、おにーしゃん! かぢだよぉぉぉ!」 「ちんぢゃう、まりちゃ、ちんぢゃうう!」 ぴょむ、ぴょむ、と小さな音の聞こえる鍋の横を通って、冷蔵庫の前に戻った。 その上のかごを下ろして調べると、チキンラーメンが見つかった。 ちょっと塩分とカロリーが高すぎだが、まあ仕方ない。 俺はチキラーを割って、皿に盛った。 饅頭側の焼ける香ばしい匂いが漂い始めている。 「どいて、どいでねっ!」 「れいむの! れいむのゆっくりぷれいちゅだよ!」 「ゆーっ、まりちゃのだよ! どかないとまりちゃがちんぢゃうよ!」 ぽにょん、ころん、びちょっ、ぷにょっ、びぢょん ぢゅうぅぅぅぅぅっ……。 「ゆぎゃぁぁぁぁ!」 「おかあぢゃぁぁぁん!」 最後はもちろん、ゆっくりたち用の飲み物だ。 俺はれいむやまりさたちの喜ぶ顔が見たくて、二日に一度はオレンジジュースをやる。 もちろん無果汁の激安品だが、これほどゆっくりを可愛がっている飼い主はそういまい。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆぢっ、ぢゅっ」 「もっちょ、ゆっくちちたかっ……ばぢゅっ」 ゆっくりは便利だ。セリフで焼け具合がわかる。 広い皿にオレンジジュースを満たして準備を終えると、ちょうど赤れいむたちの断末魔が聞こえてきた。 俺は火を止め、手鍋を覗いた。 赤れいむと赤まりさが一匹ずつ、焼きあがっていた。 全身ほどよく焦げ目がつき、ほこほこと湯気を立てている。 開いたままカリカリに焦げた口の中からは、沸騰した餡子がミチミチと漏れていた。 お猪口の上という、一箇所だけの安全地帯を巡って、壮絶に体当たりしあったのだろう。 そのゆっくりプレイスには、生き残ったまりさが一匹。 五分前まですりすりしあっていた姉妹たちの、凄絶な死にざまに、恐怖の顔で固まっている。 最愛の姉妹たちとの醜悪な争いは、無垢な心に、一生残る傷をつけたことだろう。 もっともその一生とは、あと一分もないのだが。 「ゆっ?」 わなわな震えていたまりさが、ふと俺の顔に気づいた。 その顔がくしゃくしゃと崩れ、愛くるしい泣き顔になる。 「ゆっ……ぇぇぇん! ゆえぇぇぇぇん! ゆえぇぇぇぇん!」 「おうおう、まりさ」 俺は手を伸ばしてまりさを救ってやる。ぴょんと飛び乗った赤まりさが、手のひらにすりすりする。 「れいむもまりさも、ちんぢゃったよお! バチバチってはねて、ちんぢゃったよお!」 「よしよし、こわかったな……」 「おにーしゃん、おしょかったよぉぉぉ! もっとはやくたちゅけてよぉぉ!」 生き残ったまりさの、涙に濡れた頬。 そのプニプニした感触を、指でつついて楽しみながら、俺は声をかける。 「ごめんな……俺、おまえたちのことが大好きなんだわ」 「ゆぇぇぇぇん! ゆぇぇぇぇぇん! ……ゆっ?」 まりさが不意に、ぴたりと泣き止む。 その目が、口が、恐怖に見開かれる。 つぶらな二つの目に映るのは、大きく開かれた俺の口腔。 白く硬い歯並び。 はむっ。 <なにちゅるのっ? ゆっくちやめちぇね!> 閉じた口の中で、もたもたと小さな球が跳ね回る。耳骨に叫びが伝わってくる。 <ちゅぶれりゅ! まりちゃ、ちゅぶれりゅよ! だちてね! ゆっくちだちてね!> ぱくっ、と口を開けてやった。「ゆっ!」と赤まりさが飛び出してくる。 すかさず俺はそれを手のひらで受け止める。 ぺちゃん、と着地したまりさが、振り向いてほっぺたをふくらませた。 「ぷくぅううう! おにーしゃん、ゆっくちあやまってね!」 「はっはっは、ごめんごめん」 「まりちゃ、こわかっちゃよ! おにーしゃんのばか! ばか!」 「そっか、こわかった?」 「ちゅっごくこわかったよ! おかーしゃんにちかってもらうからね!」 「ほんとごめんな。もうしないからな」 指先でころころとくすぐってやると、黒帽子のちいちゃな金髪まりさは、 「ゆふっ、わかればいーよ♪」 と微笑んだ。 「ありがとな」 俺はそう言うと、そのまりさをもう一度口に入れて、前歯でプチンと五分の一ほど齧り取った。 そして、凄まじい悲鳴を上げて舌の上でピクンピクンと跳ね回る感触を楽しんだ。 焼けまりさと焼けれいむをつまみ、口に入れてもぐもぐと咀嚼しながら、酒とつまみとオレンジジュースのトレイを手に取った。 それから、引き戸を足で開けてリビングへ戻った。 遊んでいた親ゆっくりたちが振り向く。 「ゆっくりよういしてくれた?」 「まりさたちも、のどがかわいたんだぜ!」 その声が聞こえたのかどうか、口の中の生まりさが、ビクンと強く跳ねた。 俺はそれをよく噛んでこね回し、とても甘い餡を味わった。 ごくんと飲み込む。 「おう、お待たせ。いつも通り五匹ずつね」 そう言って、床にトレイを置いた。 「みんな、ゆっくりのもうね!」 「「「ゆ~~~!」」」 母れいむの指示通り、赤ゆっくりと子ゆっくりたちが広い皿の周りについて、行儀よくぺーろぺーろと舐めだした。 甘いジュースに喜んで、ぱあっと感動の顔になる。 「「「「ちあわちぇー♪」」」」 涙を流し、ぷるぷる震える。母れいむが俺にすりすりする。 「こんなにおいしいじゅーすをのめて、れいむたちほんとにしあわせだよ!」 俺はいやいやいやと手を振って聞き返す。 「俺の幸せはおまえたちのゆっくりだよ。どう、子供たちはみんなゆっくりできてる?」 子供たちを振り向いたれいむが、力強くうなずく。 「ゆっくり! ゆっくりしているよ!」 「いっぱいいるけど、みんな大丈夫?」 「だいじょうぶだよ! このおうちは、こどもがいっぱいふえてもゆっくりできる、ふしぎなゆっくりプレイスだよ!」 「そうかあ、よかったなあ」 俺はにっこり笑って、腰を下ろす。 「これからも、どんどんすっきりして子供産んでいいからな」 「ゆっ、ありがとう!」 「ありがとうだぜ!」 「「「ありがちょうね!」」」 子供たちもいっせいに声を上げる。 俺は水割りを口にして、残っていた甘味を飲み込んだ。 fin. ============================================================================= 何かこう自然体のホラーを書きたかった。 YT このSSに感想を付ける
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(この話は、「ゆっくりボールのあそびかた」に、私アイアンマンが勝手に続編を書いたものです。原作者さん、ありがちょうね!) ■ゆっくりボールのあそびかた・勝手に後日談 日暮れ後の森の中。大きめの巣の中で、ゆっくりの子供たちが輪になって、楽しそうに遊んでいる。 「ゆっくり!」 「ゆゆぅ、ゆっくり! 「ゆん! ゆっくち!」 一声かけるたびに、ボールをポンッと押し戻す。円陣の向かいにいる子が、それを別の方向へ蹴る。 人間で言う、蹴鞠(けまり)のような風景だ。 使っているのは、茶色のぺらぺらしたものを巻きつけたボール。 子ゆっくりと同じぐらいの大きさで、何が入っているのか、ポヨポヨして柔らかい。 「ゆっくりっ!」 「きたよ、ゆっく!」 ポンッと蹴り戻し、ころころと当てる。すべすべしてとても転がしやすく、子供たちはとても気に入っていた。 「おちびちゃんたち、たのしんでね!」 「ゆっ! とってもおもしろいよ!」 「おかあさん、ゆっくりありがとうね!」 「ありがちょう! ゆむっ!」 礼を言われて、ニコニコしながら見守る親まりさと親れいむ。 この二匹は昼間、外で子供を一匹見失ってしまった。ずっと探し回っても見つからず、心配でぐったりしかけていた。 だが、その代わりにというべきか、親切な人間のお兄さんにこんなボールをもらえた。 子供たちの元気な様子を見ていると、ぐんぐん元気が回復するようだった。 夫婦で見詰め合って、ささやく。 「ゆう、れいむ、きょうはみつからなったけど、あしたはおちびちゃんをみつけようね!」 「そうだね! ゆっくりみつけようね!」 満ち足りた、幸せそのものの時間だった。 「さあ、そろそろおねむのじかんだよ!」 「ゆっくりねようね、おちびちゃん!」 「「「ゆっくりねんねしようね!」」」 その日はボールを部屋の隅に置いて、寝についた。 大きな母れいむと母まりさを中心に、家族がぴったりくっついて眠る。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆふふ……」 「おかーちゃん……むにゃむにゃ……」 「ゆっくち!」 やわらかなほっぺた同士をすりすりしあって眠るのは、最高のきもちよさ。 とてもゆっくりできる夜を、家族はいつものように過ごした。 コロリ、とボールがわずかに転がった。 次の日も家族はいなくなったれいむを探したが、見つからなかった。 その次の日も、次の日も。 「れいむのこどもがああぁぁぁ!」 「ばりざのこどもお゛お゛ぉ゛ぉ゛!」 探している最中だけは悲しみ続けたが、悲しむことも続けられないのが、ゆっくりのゆっくりした性。 「まりさ……こんなにさがしてもみつからないよ……」 「しかたないよ、れいむ。おちびちゃんはどこかできっとゆっくりしているよ……」 慰めあって、いつしか忘れていった。 日一日と日時がすぎる。その間、子供たちは毎日、ボール蹴りを楽しんだ。 「ゆゆっく!」 「ゆっくりぃー!」 こんなによく跳ねるボールは初めてで、みんなはとっても楽しんだ。 毎日続けたせいでキック力も上がり、思い切りぼこんべこんと蹴れるようになった。 「ゆぅーと!」 ポンッ! ごろごろごろごろ……バシッ! 勢いよく壁にぶつけて、人間の遊びのまねをしたりした。 しかし、そんなことが出来たのも、一週間ぐらいのこと。 子供たちがうまくなるのと反対に、ボールは弾力を失ってきた。 まるで中身が乾いてスカスカになってきたみたいに。 八日目に、子供たちは両親に頼んだ。 「おかーさん、ぼーるがべこべこになっちゃったよぉ」 「ゆっくりなおしてね!」 子供たちが囲んで持ってきたボールは、地面に接する辺りがべっこり潰れている。 それを見た母れいむが、ピコンと電球をともして思いついた。 「ゆっ、それはくーきがぬけちゃったんだよ!」 「くうき?」 「そうだよ! にんげんのぼーるはくーきが入ってるって、ぱちゅりーからきいたことがあるよ! ゆっくりなおしてあげるね!」 そういうと、母れいむはボールはボールをころころと転がして、空気穴を探した。 あった。一箇所だけ小さな穴がある。 顔を近づけると、かすかにひゅうひゅうと空気が漏れるような音がした。 「ここからくうきをいれるんだよ! おちびちゃんたち、よくみててね!」 そう言って、母れいむは空気穴だと思い込んだ場所に、口をつけた。 「いくよ、ゆぶうぅぅぅぅぅぅぅ……」 自分の体の大きさの三分の一ほどのボールに、思い切り空気を吹き込んだ。 ぎゅぅぅぅっ、とボールの中からまるで苦しがっているような声が聞こえるとともに、べこん、とへこみが元に戻った。 子供たちがわっと浮き立つ。 「なおったよ、おかーしゃん!」 「おかーさん、すごーい!」 「おかあさんはとってもゆっくりできるおかあさんだね!」 みなに誉められて、照れ照れと赤くなるゆっくりれいむ。 それを見て、自分も威厳のあるところを見せたい、と思ったゆっくりまりさ。 「ゆっ、つぎはまりさがぷーっするぜ! ぱんぱんにしてやるぜ!」 「おとーしゃん、ゆっくりがんばってね!」 こどもたちの声援を受けて、れいむと場所を変わるまりさ。 空気穴に口をつけ、力いっぱい吹き込んだ。 「ゆぶぅぅぅぅぅ……!」 ぎゅぅぅぅぅぅぅっ、と前より激しい音が聞こえたとともに、ボールの反対側で、むりっ! という音がした。 「ゆ?」 「ゆゆっ?」 いぶかしがるまりさ。不思議がる子供たち。 そのときボールの反対側で起こったのは、漏れだった。 重なり合ったガムテープとガムテープの中に、わずかに重なりの薄い、隙間のようなところがあったのだ。 そこだけは、他の部分よりもはるかに強度が弱かった。 何しろ中身は饅頭だ。 内部からそこに圧力が殺到した結果、隙間から白いものが「むりっ!」と持ち上がった。 まるで、焼けて破裂する寸前のお餅のように。 「わぁい、にゃにかしろいものが、ふくらんできちゃよ!」 無邪気に赤ゆっくりがぴょんと喜んだのもつかの間。 その膨張部が、突然破裂した。 パァン! 空気の音とともに、乾きかけてパサパサになった餡子が噴出した。ビチャッ! ともろに顔に浴びて、赤ゆっくり悲鳴を上げる。 「ゆゆうっ! にゃにこれー、あまいよぉ!?」 甘い? 不思議におもった親まりさは、ハッと気づいて、ボールに目を落とした。 この大きさ……どこかで見たことがあるような? そして、一週間転がされて半ば剥がれかけていたガムテープの端を口にくわえ、一気に引っ張った。 ビリョビリョビリョビリョビリョリョリョ! くるくるとテープがほどけていくとともに、黒い髪、白っぽい肌、そして赤いリボンが現れた。まりさが空気穴と思っていたのは、お兄さんがたくみに残したれいむの口の一部だった! 「ゆげええええええええ!!? まっまっばりさのおちびぢゃああん!?」 「ゆわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! れいむのおぢび゛ぢゃぁぁんぁんん!!」 「おねえぢゃぁぁんんん!?」 「ぎゅああああ!? ゆっぐぢできない゛い゛い゛!?」 ぐるぐるビリョッ! とテープがはがれる同時に、その子の惨状が明らかになった。 体は全身赤黒いアザだらけで、饅頭というよりモナカのようにパサパサに乾ききり、ひび割れている。 そんな乾いた肌からガムテープを力いっぱいはがされたので、ボサボサに皮膚が剥がれている。 ほっぺの肌が剥け、後頭部が髪の毛ごとごっそりはげて、まるで虫食い状態だ。 それにくわえて、いま後頭部から大量の餡子を噴出してしまった。 どうやらそれが致命傷になったらしく、白目になりかかった半眼で、「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」と痙攣している。もう数分ももたないだろう。 まりさとれいむ一家は、あまりことに脳がパンクしかかっていた。 おちびちゃんがどうしてここにいるんだろう? しんだんじゃなかったの? もしかして、ずうっとここにいたの? それじゃあ……自分たちが毎日蹴っていたのは……。 え? え? あれ? それって、つまり……。 れいむたち、まりさたちは、大事な娘の、姉妹のれいむを、一週間も飲まずくわずで蹴り続けて、……半殺しにしちゃったの……? 「ゆゆぐっ……ゆげええええええ!!!」 「おぢびちゃあん、ごべんねええ゛えげげげええええええ!!!」 「おっおっおねえぢゃあああんえ゛れえ゛れえ゛れえ゛れれれれれれ!!!」 「れいぶうぅぅぅぅ!!! おべええええぇぇぇぇぇ!!!」 死にかけのれいむは囲んだ家族は、その子のぞっとするような苦しみを想像して、あっという間に嘔吐し始めた。 餡子と餡子が交錯し、床にびたびたと盛り上がる。盛大な阿鼻叫喚だ。 みるみる壊れていく家族の真ん中で、もはや目の焦点も合わないボールのれいむが、途切れ途切れにつぶやいた。 「もっと……ゆっくり……したかっ……ゆべぇっ!」 開いた口から、パサパサの硬くなった餡子をぶぷっと吹いて、れいむは死んだ。 「ゆげえええええええ」「え゛ろえ゛ろえ゛ろえ゛ろえ゛ろ」 悲痛なゲロの音が、巣の中に響き続け、やがてひとつずつ絶えていった。 アイアンマン これまでに書いた話 # ゆっくりいじめ系1084 ゆっくり実験01 # ゆっくりいじめ系1093 ゆっくりエレエレしてね! # ゆっくりいじめ系1098 アストロン対策 # ゆっくりいじめ系1246 二人のお兄さんと干しゆっくり # ゆっくりいじめ系1279 れいむよ永久に安らかに このSSに感想を付ける
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前置き ゆっくりのセリフに読みやすくなる程度に度漢字を使用しております 補足は最後に適度にしてます しーしーの穴=まむまむとしています 舞台は幻想郷じゃない現代っぽいどこかです ゆっくり実験所 加工所やゆっくり見せモノ屋と違いゆっくりを研究し実験する施設 加工所と密接な関わりを持ち虐待用品からゆっくりフードまで幅広く開発する会社である しかし職員に好き物が多いのは言うまでもなく嗜好的な実験も数多く存在する 「そういえばさ、胎生出産のヤツってでるとこなくなったらどうなるんだ?」 職員の一人の言葉からこの実験ははじまった ある程度の個人的趣味は取り入れてもいいとはいえ実験前は所長に許可を取りに行くのが通例である まぁたいていは一言で終わるのだが 「おうおうやれやれ」 こうしてこの実験は開始された まずは胎生型のゆっくりペア(れいむxれいむ まりさxまりさ ありすxありす)を3組用意する そして人工的に発情させ夫婦共々にんっしんっすれば準備完了である 約2週間後- 「そろそろ赤ちゃん生まれそうだな」 「ゆゆ!れいむのあかちゃんもうすこしでうまれるよ!」 「れいむはうごけないからおにーさんもっとたべものをもってきてね!」 はいはい・・・と適当に相槌をうち白玉に少し砂糖をまぶした物をケージの中に放り込む 「「むーしゃむしゃしあわせー」」 元野良の2匹にはこれだけでも至上のご馳走である それを2週間も与え続けたためこの2匹はおにーさんへの警戒心がまったくなくなっていた 「おいしいのはいいが・・・お前達知ってるか?」 「ゆ?なんのこと?」 「いやな・・・・ゆっくりの間で流行ってる病気なんだが」 「ゆっ!?れいむたちびょーきなの!?」 饅頭であるゆっくりにも病気はある 野良は特に虫を媒介とした寄生虫や湿気によるカビ・・・ 何でも餡子に変えるが十分に栄養を取れないと病気になるらしい 「お前達はいいんだがお腹にいる赤ちゃんが死んじゃう病気らしいんだ」 2匹の顔が強張る ここにつれてこられ不安なときに相方とであった おにーさんがゆっくりぷれいすとご飯をくれてはじめてゆっくりできた日に結ばれた二匹 そしておにーさんの[ここでしばらくゆっくりしていいから2人で出産すれば?]の言葉からすっきりし合ったあの日 ずっとゆっくり幸せだった瞬間が壊れるかもしれないとよぎる 「おにーさんれいむのあかちゃんたすけてね!」 「にんげんさんなられいむたちのびょーきなおせるでしょ?ゆっくりしてないでなおしてね」 ここに来たとき1匹は瀕死の重傷だったのをおにーさんが小麦粉と水とオレンジジュースで治したのを覚えていたのだろう 「うーん、でもお腹の中の赤ちゃんだぞ?お腹を切らないと手術できないしなぁ」 「ゆっ!?そんなことしたられいむしんじゃうよ!そんなこともわからないの?」 「そうだよ!またあんないたいおもいしたらゆっくりできないよ!」 ゆっくりじゃなかったらゆっくりできないどころじゃなく死ぬ 「大丈夫だって、れいむだって餡子でてたのに生きてるだろ?赤ちゃんのためにあれをがまんできるかできないかだよ」 「ゆぅ〜・・・」 「おにーさん・・・れいむのおなかをきってね!」 「ゆゆ!れいむなにいってるの!そんなことしたらしんじゃうよ!」 「おなかをきってしゅじゅつしないと赤ちゃんしんじゃうんだよ!れいむもゆっくりりかいしてね!」 「ゆ〜・・・わかったよ!おにーさんれいむもゆっくりしゅじゅつしてね!」 もっと悩んでもいいと思うがさすが餡子脳 即決で切腹することを決めるあたり子供思いというか単純というか 「OKOK、じゃあ手術は明日するからそのつもりで今日はゆっくり休んでおけよ」 「ゆっくりりかいしたよ」 「おにーさんもゆっくりねてね!」 こうしてれいむ夫婦の実験のための説得が完了した ちなみにまりさとありすもこんな感じの説得だったため割愛する 眠らせてもいいが面白くないのと反応を記憶したいので起きたままの状態で手術がはじまった 手術といっても別段病気でもないしゆっくりを説得するためにつかった言葉なのだが 「い”だい”!!!!やべでええええええええ!!!!!!」 と、台の上でれいむが叫んでいる 「赤ちゃん死んで良いのか?」 「ゆ”ぐ!?だめだよ!ゆっくりしてないではやくしゅじゅつしてね!」 想像通りの反応が返ってきたところで職員は手術を続行する 懸命な読者の諸君ならもうわかっているだろうが手術が終わるまでこんな感じであるため割愛する 「ゆぐぅ・・・れいむとってもいたかったよ!おにーさんばかなの?しぬの?」 「なんでいたくできないの!」 手術が終わったら手を返したように罵倒してくる 1匹は育ちがいいのか教育がいいのか悪口はいってこないがしょせん元野良なのでその程度である 2匹いるためか調子にのって暴言を吐く饅頭達 「しゅじゅつがおわったんだからあかちゃんのためにおかしをもってきてね!」 「そうだよ!さっさとばかなにんげんはれいむのおかしをもってきてね!」 「うるせぇな糞饅頭が・・・」 「「ゆ!?」」 突然職員の口調が変わる 手術をすればこっちのもの もうおだてる必要などないのだから 「黙れっていってんだよ!」 ズンっ・・・という音とともに殴られたれいむが吹き飛び壁に激突する 「ゆ・・ゆぐぅ・・・」 さすがゆっくりに実験と研究した職員 皮越しにもかかわらず中枢餡に一撃でダメージを与え気絶させる 「快・・・感!」 ビクンビクンするゆっくりを見て少々悦に入るこの職員変態である 「れいむしっかりしてね!おにーさんなにするのれいむはにんっしゆぎゃゃぁぁあああああ!!!!!!」 職員はもう1匹のれいむにも一撃をくわえる 今度はかなり手加減したので気絶していない 「なでぃずるの!でいぶはにんしんじでるんばよ!ばがなの!じぶの!?」 呂律が回ってないのも毎度お馴染みなので無視して職員はれいむの髪をつかみ持ち上げる 「やべでねでいぶのぎれいばがみのげさばらないでね!」 「いいか?おしえてやるよ」 「ゆ?」 「お前達の赤ちゃんは改造した」 「ゆ”ゆ”?」 かいぞう? ゆっくりにはその言葉が理解できなかった 「かいぞぶっでなびなの?」 殴ったとき歯が折れたらしくまだ呂律が回ってない あとでオレンジジュースでも注射しよう 「赤ちゃんを強くしたんだよだからあの程度どころかお前が潰れるぐらい蹴ったって赤ちゃんは死にゃしねーよ」 「ゆ・・・・・ゆゆ!りかいしたよ!さすがれいむのあかちゃんはゆうしゅうだね!」 呂律が戻ってる・・・オレンジジュースがもったないないしこのままでいいか 「俺が改造したって言ってるだろうがこの餡子脳!」 そういって壁に叩きつける 実は親も改造されているので中枢餡を吐き自殺もできない そして皮は丈夫に痛みはそのままという虐待専用改造である ちなみに真性虐待癖の人はこの改造はあまり好きじゃないらしい 「やべでぇえ”え”え”え”!!!!!!!」 「でいぶばにんじんじでぶんだよやべででぇ!!!!!」 この後職員は退勤時間まで虐待して遊び続けたのはいうまでもない 3度目なのでもう言う必要がないだろうがまりさとありすも同じような状態である 手術内容の報告- 「変わった趣向だな」 「今回は資金集めも担ってますからね」 「ふむ・・・」 所長と実験責任者がレポートのチェックをしている 「虐待好きのための見世物・・・か」 「気に入りませんか?」 「いやそうじゃない・・・私がしたかった・・・」 「所長はもうちょっと自分の権限使ったほうがいいですよ」 「そうかもな」 含み笑いをする二人 その笑みには虐待癖特有の感覚が含まれていた ゆっくりが見ればこれだけで震え上がるだろう 「共通してることは母体の強化及び赤ゆの強化及び成長促進剤の投与、そして出産直前までオレンジジュースで栄養過多の状態にします」 「それ以外はこのレポートの通りか」 「はい、目を通しておいてください」 れいむへの措置 母体のまむまむ(ぺにぺに)を切除し溶いた強力粉で再生させる措置 強化してるとはいえ出産の圧力がどれほどかわからないため強力粉を使用している まりさへの措置 母体のまむまむ(ぺにぺに)とあにゃるを切除し溶いた強力粉で再生させる措置 ありすへの措置 母体のまむまむ(ぺにぺに)とあにゃるを切除し歯を溶かし上下を接着する措置 数日後- ありすは目が覚めた 周りには沢山の人がいるにも関わらずそこはとても静かであった 「んー!ん”−!」 必死に助けを求めようとするが歯が接着されているので話すことができるはずもない 出産まで少し時間があるので母体達がどのような状態か説明しておこう オレンジジュースを大量に投与されたありすの体はたぷんたぷんのデブゆっくりである 鏡の無いこの場所では自分の姿がどのようになってるかわからないだろう しかしこのありすは1匹ではない 伴侶を見るとたぷんたぷんのデブありすが目に入る 自然界のありすならば[いなかもの]と罵ったであろう このありすもはじめは伴侶がデブになっていく姿に軽蔑していたのだから しかしお互いいつからか理解してしまった 自分も同じ姿なのだろうということを れいむとまりさは言葉が話せる状態だったため 「まりさはまりさがどんなすがたになってもさいこうのつまとおもってるぜ」 「ぽっちゃりしたれいむもすきだよ!」 と言っていたのが気に入らなかったのか 職員は整形して作った超絶絶世美ゆっくりれいむとまりさを2組とすごさせとことんこの2組に惨めな思いをさせていた ちなみにこの美ゆっくりは中身を白餡に変えられ躾られているので虐待されたりはしない こうして説明してる間にどうやら時間が来たようだ 「ゆゆ!れいむのあかちゃんうまれそうだよ!」 「まりさのすてきなあかちゃんがもうすぐうまれるぜ」 「ん”−!(訳:とってもとかいはなあかちゃんがうまれそうね)」 こうして実験兼見世物は開始された 数分後(ありす編)- 「ん”ん”ん”ん”ん”!!!!!!ん”ん”ん”ん”!!!!!!!!!!!」 力んでも力んでも赤ちゃんが外にでる気配はなく終わらない激痛だけがあいすを支配する 「(あのまま殴りてぇ)」 「(動けない箱に入れて・・・ハァハァ)」 ここでは声を出すと退場となるんで観客たちは静かだが顔をみるだけでこの観客の98%が変態だとわかった 「ん”(略)(訳:どおしてうまれないの!?あかちゃんとかいなありすの子供なんだからゆっくりしてないででてきて!)」 眼球が半分隆起するほどの苦しみ 普通のゆっくりだけじゃなくほととんどの生物は死に至るであろう苦しみ だがその苦しみさえも強化改造されたこのゆっくり達には死に至らない程度の苦しみ 「ん”(略)(訳:ゆぎぃいぃいいいいい!!!!赤ちゃん何してるのぉ!??!?!?!?!?!)」 1匹のありすがこれまで以上の異常なほどの苦悶を浮かべる 「お、はじまりましたね」 「予想通りだが妄想より現実だなやはり」 「ですよねー」 研究員達は笑いながらありすの苦しんでる様をメモしている 「ん”!(略)(訳:どおしたのありす!?しっかりしてね・・・ゆぎゃぁああああああああ!!!!!!!!!)」 もう1匹のありすもさらに苦しみだした ここからは普通にありす達が話してますがしゃべれない状態です 別に書くのがめんどくさいとかじゃありませんわかりやすく分けただけですってば! [ゆぅ・・・このみゃみゃじゃありちゅはおしょとにでれにゃいんだよ・・・しょうだ!でぎゅちをさぎゃせばいいんだ!] (やべでえええええええええ!!!!!あじすのながびだべだいべぇえええええええ!!!!!!!) 出口がないなら出口を探す 親は言葉が話せないので静止することもできない 静止したとしても出ることがかなわないだけだが [むーしゃむーしゃしあわせー] (ゆぎゃああぁぁぁあばああああああああやべでぇえええええええいぎゃいびょぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!) 親の餡子を食べる子供 食べられ苦悶するがそれを伝えるすべを持たない親 成長促進の影響もあり食欲旺盛な子供の勢いは止まらない 甘いものを食べてるゆっくりは常識的に考えて止まらない 「おー、これは中々新鮮な苦しみ方ですね」 「あの不規則な中の規則的な痙攣・・・充血を超えて出血した見開いた目・・・流れ続ける涙・・・最高だ!」 もうやだこんな所長 [はやきゅそちょにでてみゃみゃにあいしゃちゅすりゅんだよむーしゃむーしゃ] (ゆ・・・ぎゃ・・・ばんで・・・・・・・・あが・・・ゃん・・・) さすがに餡子を食べられては強化されてるとはいえ限界であった [ゆ!?みょうたべりゃれりゅとこりょがにゃいよどうにゃったりゃでれりゅの?!] ゆあーんと餡子をすべて食べられた母親の中で泣きだす赤ゆっくり そこに職員が近づいていきナイフで母体の皮を切り穴を作った 「ゆ!おしょとだよみゃみゃにあえりゅよ!!」 「「ゆっくりしちぇいっちぇね!」」 父と母の中からて二匹同時にゆっくり挨拶 しかし両親からの挨拶はあるはずもなかった 「ありちゅちゃんちょあいちゃちゅできちゃよ!みゃみゃみょあいちゃちゅしちぇね」 「死ねるんだから挨拶できるわけないだろ」 職員が赤ゆに声をかける とびきりの現実と共に 「にゃにいっちぇるの!ありしゅはみゃみゃきゃらうみゃれちゃんだよ!」 「しょうだよ!みゃみゃがしんじぇたりゃありちゅはうみゃれてにゃいんだよ!」 なんでこんな知識があるかは不明だがこのさい置いておこう 「赤ちゃん達は外に出る前に甘い物を食べたよね?」 「ゆゆ!ありちゅはあみゃいもにょをたべちゃよ!」 「もちきゃちておにーしゃんがくれちゃの?にゃらもっとありちゅにちょうだいね!」 「あぁ食べさせてやるよ・・・」 そういってママの中に指をいれ残った餡子を取り出す 「にゃにちちぇるの!」 「やめちぇぇええええみゃみゃをいじめにゃいでぇぇぇええええ!」 「食べてみろ」 グイっと指をありすの口に入れる 「やめちぇねきもちわりゅい・・・」 「みゃみゃにょにゃきゃみなんてたべちゃくな・・・」 「「しあわせー!」」 二匹はしあわせーと美味しいものを食べたときの言葉を発する 「もっちょありちゅにたべしゃせてね!」 「もっちょちょうりゃいね!」 母親から取り出した餡子ということをすでに忘れている赤ゆ さすが餡子脳 「さてここで問題です」 「みょんだいにゃんていいきゃらおきゃしちょうりゃいね」 「今食べた餡子は何だったでしょうか?」 「おきゃしちょうらいっていってゆんだよ!ばきゃなの?しにゅの?」 「問題に答えれたらまた食べされてあげるよ今度はいっぱいね」 「ゆ!ゆっくりりきゃいしちゃよ!!」 「いぴゃいたべれりゅにゃらありちゅがんびゃるよ!」 問題に答えれば甘いものが沢山食べれるとゆっくり理解する しかし成長促進された餡子脳はしばらくすると気づいてしまった 「ゆぎゃぁぁぁあああああ」 「ありしゅ!?しっきゃりしちぇねどうしちゃの!?」 突然1匹が奇声をあげる そう気づいたのだこの赤ありすは 母親を食べたことを 「ゆべぇ・・・ゆがぁ・・・・」 「ありしゅがしにちょうだよ!ゆっきゅりぺりょぺりょしてにゃおすよ!」 そういって奇声を上げているありすを舐めるもう1匹のありす ペロペロのせいか落ち着きを取り戻したありすがゆっくり話し始める 「ありちゅ・・・ゆっきゅりきいちぇね・・・」 「ゆゆ?どうちちゃの?」 「ありちゅたちがたべちゃあみゃいおきゃちはねみゃみゃたちにゃんだよ」 凍りつくもう1匹のありす こちらも異常成長した餡子脳が理解したのだ 母親を食べたことを 「ゆ・・・・ぁ・・・・・みゃみゃ!!!!!」 「はいそこまでー」 母親の死体にかけよるありすをつかみ透明なケースにいれる職員 「にゃにするにょ!ありちゅをおりょして・・・」 ケースに蓋をされ外に声が漏れなくなった もう1匹も同じようにケースに入れられている こちらは傷心しうなだれているが 「さー、本日のショーの1つはここで終了です!皆様が今見たとおりこの強化されたゆっくりの強度は保障済みです いつもならこの赤ゆっくりは研究所いきですが今日はこの赤ゆっくりを競りに出したいと思います!!」 ウオォー!という歓声につつまれる劇場内 実験所で強化されたゆっくりが競りや売りにだされる事が稀であるため興奮が抑えきれないのであろう 「さぁまずは1000円から!」 こうしてありすの実験は終了した この赤ありすは今後死ぬまで虐待されゆっくりできることは数える程度の人生を歩むであろう 数分後(まりさ編)- 「あかちゃんゆっくりしすぎだよはやくうまれてきてね!」 ありす同様中々生まれてこない赤ちゃんに苛立ちを隠せないまりさ 日頃受けていた虐待がれいむやありすより強烈だったため出産の痛みはさほど苦しくないようだ 「どぼじでぇうばででごないどー!!」 と思ったら1匹は苦しいようだ 「まりさがんばってね!ふたりのすてきなあかちゃんのためだよ!」 「わ”わかったよ!まりさもがんばるよ!」 冷静なまりさが苦しそうなまりさを諭す そのおかげで苦悶していたまりさも落ち着きを取り戻し力むことを再開する だがいつまでたっても赤ちゃんがでてこない まむまむが広がらないのだ 「やっばでぃだべだよぉ!?」 「ゆゆっ!?なんであかちゃんうまれてこないのぉ!?」 さすがに冷静を保っていたまりさも不安がぬぐいきれなくなる 植物型にせよ哺乳類型にせよゆっくりは子供の出産を本能で理解している そのため自分をゆっくりな状態にして出産に挑むのが通例である 劇場内でこれだけの人目の中での出産は異常だが事実を切り離すことによりゆっくりな状態を作っている 本当に餡子脳はバカで便利にできている 「ゆばぁ!?ゆあああああげぇあああああああ!?!?!?!!???いだい!?いだいよぉあああああ!!!!」 苦しんでいたまりさが痛みを訴える 「ゆゆ?まりさどうしたの?」 「まりさのあん・・・こ・・・たべあ・・・・・ゆべぇ」 ゆべぇ・・・と口から黒い物体を吐き出す そしてその黒い物体はもぞもぞ動き出し 「ゆっきゅりしちぇいってね!」 ゆっくり挨拶をした 「ゆ?ゆゆ!?」 なんで赤ちゃんが? まりさの口から? なんで? 赤ちゃんがまりさを? 「ゆああああああああ!!!!!!!!!おなかのなかのあかちゃんはやくしんでね!」 ドスンドスンと何度も飛び跳ねお腹の中の子に死ねと言い放つ 毎度の事ながら都合よく危機を理解したのだろう 目の前の赤ん坊が外に出れず外を目指した結果を 「びゃ・・・ゆば・・・・」 どうやら赤ゆを吐き出したまりさはオレンジジュースを大量に与えていたおかげでかろうじて生きているようだ 正確には中身をぐしゃぐしゃにされ口内を突き破られた・・・だが 「しね!しね!おかーさんをころそうとするあかちゃんはしね!」 冷静だったまりさは狂ったように死ね死ねコールを連呼し飛び跳ねている 強化改造してるため普通のゆっくりの数倍のジャンプ力で飛ぶ姿は生首の幽霊が如くきしょい 良識ゆっくりと思ったらどうやらゲスが強いまりさだったらしい 「ゆっくりしてないでしねしねしねしねし・・・ゆぎゃぁ!!!!!!」 しかし中の赤ちゃん強化されている この程度じゃ死ぬわけが無かったのだ 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!!!!!!」 歯を食いしばり中で暴れる子供を殺すためジャンプし床に自分を叩きつけさらに壁に突進し子供を殺そうとする だがそれらは無駄に終わる 「ゆぎゃぁぁぁぁあああああああぁぁぁあああああ!!!!!!・・・・・ゆべっ」 またもや黒い物体を吐き出すまりさ 言うまでもなく中の子供である しかし様子がおかしい 「・・・・・・・・・・・・・・・」 ゆっっきゅりしちぇいってね! 赤ゆ特有の赤ちゃん言葉のゆっくり挨拶がない 「あがじゃん・・・・どぼじであいざずでぎばいの・・・・」 さっきまで殺そうとしてたゆっくりの発言と思えないがゆっくりしたい本能の脳内式は 『苦しい!』→『赤ちゃん生まれる』→『開放感&これでゆっくりできるよ!』 と簡単に上書きを完了させた 親だけが 「ゆっきゅり・・・しべぇ!!!!」 「ゆゆ!?」 生まれてきた赤ちゃんの最初の言葉 それは親に対する殺意 生まれてきた赤ちゃんとの最初のすりすり それは目への的確で強力な噛み付きであった 「ゆぎぎぃああああああ!!!!やべでぇ!?あがじゃんやべでぇえええええ!!!!」 出産の疲労と開放感と中身へのダメージで動けない親の眼球を 「ゆべぇ!」 あっけなく噛み砕いた子供 「どぼじでごんなごどするのー!?」 「ごみくずはだまってしんでね!」 「やべでぇ!やべでぇ!やべでぇ!やべでぇ!やべでぇぇぇぇぇええええええ!」 攻撃は続いたが強化されている母親は吹き飛ぶばかりで死ぬことはなかった それから数分後- 「はいそこまでー」 職員が赤ゆ二匹と瀕死の親をケースにいれ競りを開始した 後から生まれた赤ゆは体内で殺されかけたせいか二言目にはしっかり話ができるほど成長してたこともあり高く売れ のちに飼いゆっくり競技としてできる[闘ゆ]の伝説の初代王者となるのはまた別の話 ちなみに1匹目の赤ゆは2匹目が親を殺そうとしてる間ずっと自分の親を看病しており 親もこのことが嬉しかったせいで自分の子供のせいで瀕死になったことを忘れ同じ虐待おねーさんに買われ この虐待おねーさんのパートナーとして他のゆっくりへの虐待を手伝う日々の中子供は[闘ゆ]に出場し 初代王者との激戦を制し2代目王者となる生涯を送るのは別の話 ゲス親まりは虐待され続けられ畑の肥料にされたとのこと 数分後(れいむ編)- 「ゆぎゃあぁああ(省略)」 〜この文は前2つとあまりに同じため削除しましたテヘッ☆〜 「もっと力めばいいんだよ」 「ゆっ!?ゆっくりりかいしたよ!」 「はやくあかちゃんでてきてね!!」 れいむは職員の言葉に素直に従った 産道であるまむまむは強力粉で再生されたため破れることすらなくいつまでも続く出産の苦痛から逃れるためである 「「ゆゆぅ〜!!」」 力いっぱい力む2匹のれいむに異変が起こるのはそれからすぐだった 「ゆあああああああ!?あにゃるがいだあああああああ!!!!!!!」 「ゆっゆっゆっ!?」 2匹してあにゃるの苦痛を訴える よくみるとあにゃるが切れて広がってるようだ 切痔? 「うんうんでないでね!あかちゃんがゆっくりでてこれないよ!!!ゆあがああああああ!!!!!!!」 お腹の中の子を気遣いながら苦痛にゆがむれいむの顔 「ぼう・・・だべだびょれいびゅ・・・・・・」 「ゆゆ!?れいむしっかりしてね!あんこはいちゃだめだよ!」 「ゆべぇ・・・・・・・・・・・・・・・」 「でいぶぅ!!!!!!!!!」 自分自身の苦痛をよそに伴侶を気遣うところは見習いたいものだ しかし中枢餡を吐き自殺した伴侶へのことなどすぐ忘れてしまう それほどの激痛がれいむを襲った 「!?!?!!!?!?!???!??!!!!?!?!」 れいむが歯を食いしばり目を見開き苦痛が頂点であることを悟らせる おそらくはあにゃるからうんうんがでないようにしてるのだろう 「(うんうんしたらあかちゃんがよごれちゃうよれいむはがまんするよ)」 人間が便意をがまんするようなものだろうか 歯を食いしばり血走った目を見開き・・・さっきも書いたねこれ そんな状態で力んでいる そう力んでいるのだ ブビッブビビビビビビビッッ!! 力んだせいで勢いよく餡子があにゃるから飛び出る 「どぼじでぇ!?」 あにゃるが切れてる状態で力むなんてマヨネーズをだすのにロードローラーを使うようなものだ 「ゆぅ・・・これじゃあかちゃんゆっくりできないよ・・・」 あたりに散乱する自分からでたうんうんに愕然とする 大量に中身をぶちまけたためれいむの大きさは3分の2ほどに萎んでいた 武装錬金の世界にゆっくりがいたらきっとホムンクルス指定されたゆっくりを斗貴子があのセリフでぶちまけてくれるだろう と、脱線したところで話を元に戻そう 「あかちゃんはやくゆっくりでてきてね」 舌を伸ばしまむまむがあった場所を舐めるれいむは気づいてないのだろうか 陣痛が消えていることに 「ゆゆ?」 もぞもぞとうんうんの中で動く何かをみつけるれいむは警戒態勢に入る そしてうんうんの中から・・・ 「ゆっきゅちしちぇいってね!」 うんうんとと一緒に外にだされた赤ゆがでてきた 「ゆっ!みゃみゃおにゃきゃちゅいたよ!ごひゃんちょうだいね!」 第一声の次は親に対してご飯クレクレ・・・間違いなくこのれいむの子だ しかし自分の子供に対し母れいむはゆっくり挨拶をしようとしない むしろその目はゲスを見る目であった 「ゆ?みゃみゃ〜ごひゃん〜」 すーりすりしようと近づく赤ゆ しかし生まれてはじめての親への甘えは叶うことなく困惑にかわる 「おまえなんかれいむのこどもじゃないよ!」 「ゆゆ!?」 赤れいむは困惑した ママの子供じゃない? そんなわけない お腹の中で聞いた声を覚えている 生まれてきてはじめてあいさつしたこのゆっくりが自分の母親じゃないはずがない! 赤れいむはたまらず叫ぶ 「れいみゅはみゃみゃのあかちゃんだよ!どおちてそんにゃこというにょ!」 「おまえはうんうんだよ!うんうんのくせにれいむのかわいいあかちゃんをなのらないでね!」 「れいみゅはうんうんじゃないよ!みゃみゃのこだよ!ゆっきゅちりきゃいちてね!」 「うるさいようんうんくさいにせものはさっさとしね!」 自分の子をうんうんと罵る親 あにゃるからでてくる=うんうん 実に単純でわかりやすい認識である 「おまえみたいなしゃべるくさいうんうんはゆっくりしね!」 「ゆべぇ!」 赤れいむは一撃で絶命した 強化されてる赤ゆを一撃で絶命させたのは単にお腹の赤ちゃんをゆっくり産みたい母性であろう 「これであかちゃんもゆっくりできるびょ・・・・ゆっぎゅりでぎゅゆっぎゃゆあべぁ」 母れいむが徐々に呂律が回らなくなる原因 これも単純である 赤ゆに突進した衝撃で切れたあにゃるから大量の餡子と共に中枢餡がとびでたためである つまり死亡確定! 「ぼっびょ・・・ゆっぎ・・・・ゅりじじゃぎゃっだ・・・」 こんな状態でもお決まりのセリフを言えるのは大したものである 「はいそこまでー」 「もっと早くとめようぜ」 「ちょっとどうなるか気になってつい・・・」 数分後- 結局れいむで生き残ったのは最初に死んだ母れいむの中の子だけ この子れいむは買っていった青年は愛でお兄さんだったため 躾を施され愛でお兄さんの飼う20匹超のゆっくりの子供の世話係として飼いゆっくりとしてはまともな生涯を送る 愛でお兄さんがこの虐待劇場にいた理由は 『愛でるにはゆっくりがどうしたら苦しむか知らないといけない』 というのが理由である その後- 「いやぁ、これでしばらくは資金面は困りませんね」 「たしかに困らないが」 「また見たい・・・ですよね?」 「その通りだ」 こうして3ヶ月に1度このショーは趣向を変え公開されることになる ゆっくりブリーダー達の中では研究所で強化改造されたゆっくりが飼えると毎回予約が殺到するようになるが それはまた別のお話 オマケ- 「「すっきりー」」 今この夫婦(まりさxありす)は子作りを終えたところである 「ありすのまむまむさいこうだったぜ」 「まりさのてくにっくもすごくとかいはだったわ・・・ゆっ!まりさこどもができてきそうだわ!」 「ゆゆ!でかしたんだぜありす!」 そういうとニョキと頭から茎が・・・生えてこなかった 「湯がやあああああああああああああ!!!!!!あたまがいだいああああああああ!!!!!!!!」 「ありす!?しっかりするんだぜ!」 突然叫びだすありすを心配しすりよるまりさ 「あだまがいだいわ”・・・まりさ・・・」 「なんなんだぜ?ゆっくりしっかりするんだぜ」 「もっとまりさとゆっぐりしだがった・・・・・・・・ゆ”っ!!??」 「ありすー!!!!!!!」 絶命したありすの後頭部から棒が突き出ている おそらく中枢餡を茎がが直撃し皮を突き破ったのだろう 「ありす!ありす!ありすぅぅぅぅううううううう!!!!!」 まりさは一晩中泣き続けた 「うーん、植物型は無理かー」 「強化したゆっくりでも持たないとはな」 「あらかじめ茎の通り道を作っておくとか?」 「背中に違和感あると夫役のほうが違和感もってすりすりしなくなるから素材を作るところからだな」 「んじゃそっちは俺が工面するよ」 今日も実験は続く Q.なんでわざわざ手術の説得したん? A.実験職員は1つの実験だけじゃなくいろいろな実験をするためです よってこの会話の記録も実験の1つ Q.赤ゆっくりはなんで同時に出産にはいったん? A.成長促進剤で調整されてます Q.白餡? A.白餡にしたら性格がよくなるってあったので ってことは自然発生したゆっくりには白餡は存在しない? Q.1組2匹の意味なくね? A.同じ種類にした罰です 文章力の低い作者を虐待して許してください Q.ありすの中身が餡子? A.よくある設定ではカスタードやクリームですがこの世界では一律餡子です Q.闘ゆ? A.闘犬のゆっくり版 ブーメラン殺法中のゆっくりはキモいと思う(見た目的な意味で 前の作品 「ゲスG誕生!」 「猟奇的に伺が。」 作:メトロイドマホロイド
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*警告* ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。 ↓以下本文 れいむはとてもゆっくりしていた。大好きなまりさと力を合わせれば、おなかいっぱい ゆっくりできるごはんが集まった。ゆっくり育てた十匹の可愛い子ゆっくりはみんな良い 子で、お姉ちゃんゆっくりはもう一緒にごはんを取りに行くこともできる。妹ゆっくりは おうちでゆっくりお留守番ができる。みんなゆっくり、けんかなんてすることはない。 雨の日も風の日もゆっくりできない日も、家族みんなでゆっくりしてきた。一匹も欠け ることなく育てあげた家族は、れいむの自慢だった。 「ゆ゙ぴぃ!」 その子れいむが弾け飛んだ。ゆっくり一匹分の枠のなかに、照り返しも艶やかなこしあ んの餡子が飛び散っている。ぷにぷにですりすりすればとってもゆっくりできた皮も、す てきなおりぼんも今はあんこにまみれた残骸でしかない。 「お゙ぢびぢゃんどぼじだの゙お゙お゙!?」 れいむは叫ぶ。寒天の目玉をひん剥いて叫ぶしかなかった。叶うならば、今すぐ子れい むの側に跳ね寄りたかった。しかし、どれほど動こうとしても、黒焦げになるまで焼かれ たあんよは言うことを聞かない。 「あ゙ん゙よ゙ざん゙! ゆっくりうごいてね! おぢびぢゃんがたいへんだよ!」 れいむは柔らかいおまんじゅうの身体を必死によじり、跳ねようと身をたわめる。しか しその場でもにもにするばかりで、あんよは決して動くことはない。 「お゙でえ゙ぢゃ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!」 一番近くにいた一匹の子れいむが大声で泣き叫ぶ。その子れいむもまた、あんよが炭に なるまで焼かれており、決して近寄ることはできない。そして、子れいむは泣き顔のまま、 一瞬で中身をぶちまけた。跡にはあんこと破れた皮、ボロボロの飾りが残るばかり。 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 わけもわからず、あんよも動かない。一斉に泣き叫ぶ子れいむたち。ゆんゆん絶叫が響 くなか、少し離れた場所が爆発した。 「ゆっぐりでぎないよ゙ぉ゙! も゙お゙お゙うぢがえる゙!」 爆発をきっかけに、一番小さいれいむが大泣きに泣きはじめた。そして、爆発は次第に 子れいむに近づき、二回目の爆発のあと、子れいむは泣き顔の皮をあんこの中に撒き散ら し、生ゴミとなり果てた。親れいむはそれをゆっくり見ていることしかできなかった。 そして再び、少し離れた別の場所が爆発した。 「ゆっ……! みんな! ゆっくりきいてね!」 「ゆ゙ぁ゙……?」 「おがあぢゃあ゙あ゙……?」 「どっかーん、はゆっくりできないよ! でもゆっくりしずかにしてね! ゆっくりしてな いと、おちびちゃんみたいにどっかーんしちゃうよ! ちかくでどっかーんしても、ない たらゆっくりできなくなるよ!」 親れいむの考えは、こうだ。自分たちは白くて広いお部屋にいる。お部屋の床には四角 い模様が書かれていて、その枠はどれもゆっくりひとりぶん。地面の四角い枠からは出ら れない。時々、地面が爆発してゆっくりできない。もし爆発した枠のなかにいたら、永遠 にゆっくりしてしまう。お部屋には他に誰もいないから、爆発する模様はでたらめなのだ。 でも爆発の近くにいて大きな声を出した子には爆発が近づいてきて、最後には永遠にゆっ くりしてしまった。 「やだやだやだあああ! ゆっくりしたいよ!」 「ゆっくりしずかにしていれば、ちかくでどっかーんしてもだいじょうぶだよ! みんな おかあさんのいうとおりにしてね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 まりさと一緒にゆっくり育てた自慢の子ゆっくりでも、近くで爆発したら大声で泣き叫 び、爆発を呼び寄せてしまうかもしれない。それでもあんよを焼かれたれいむには、子 ゆっくりを信じるしかない。 部屋に残っているゆっくりは、親れいむと子れいむが三匹。二匹は既に永遠にゆっくり してしまっている。床の枠が火を噴く。轟音にどの子ゆっくりも恐怖の表情を張りつけて 身動きのとれない身体を震わせる。親れいむの言うとおりに、ゆっくりできないのを必死 に我慢してガタガタ震えていると、先ほどの一番小さいれいむの時とは違い、爆発は誰か に近づいてくることはなかった。でたらめな場所が爆発し、親れいむはゆふぅ、と大きく ためいきをついた。これで爆発しなくなるまでゆっくりできるかもしれない、と。 「おかーしゃんすごいね! どっかーんさんこっちにこないよ!」 それもその次に小さい子れいむがきゃいきゃいと幸せそうな顔で叫ぶまでのことだった。 子れいむの幸せそうな大声に、爆発は一枠一枠、確実に近づいてくる。 「い゙や゙ぢゃ゙あ゙あ゙あ゙! こっちこないでね! れいむ゙はここぢゃないよ゙!」 近づく爆発。動かないあんよ。ゆっくりできない恐怖に、親れいむの言葉も忘れ、子れ いむは涙を激しく流し、金切り声をあげる。そして、子れいむは盛大に爆ぜ飛んだ。周囲 の枠に、あんこが飛び散る。声もなく見つめる親れいむとれいむ姉妹。 怖くて泣かなくても、しゃべったら永遠にゆっくりさせられてしまうのだ。怖くても泣 けず、永遠にゆっくりしてしまった子れいむのためにゆっくりすることもできない。親れ いむは涙を静かにこぼし、声を絞り出した。 「こわくても、ゆっくりしずかにしていてね……おはなしするとゆっくりできないよ」 「ゆ、ゆっくりぃ」 残るは大きめの子れいむが二匹と、親れいむが一匹だけ。爆音と共に、近くの枠が火を 噴いた。恐怖の表情で固まり、ガタガタ震える子れいむ。どんなに怖くても、親れいむの 言いつけを守り、お口をぎゅっとつぐんでしずかにゆっくりしている子れいむを心配そう に見つめながら、れいむは唯一の希望をひたすら待っていた。れいむのすてきなまりさが 助けに来てくれることを。まりさは狩りも上手でかけっこもはやい。れいむたちが動けな くても、必ずゆっくりさせてくれるはずだった。 「ぴゃ゙ぎゅ゙!?」 遠くの爆発に目をぎゅっと瞑って悲鳴を押し殺していた一匹の子れいむが吹き飛んだ。 爆発は遠かったのに。親れいむは信じられない表情で子れいむだった残骸を見つめる。 そして、気付いた。一度爆発した場所は、黒く焦げていることを。そして、まだ焦げてい ない場所は、ほとんど残されていないことを。 「ゆっくりしたいよ! ゆっくりさせてね! ゆっくりしていってねー!」 姉妹が全て吹き飛んで、とうとう恐怖に耐えられなくなった最後の子れいむが泣き叫び はじめた。あんよは動かず、まりさは来ない。親れいむにできることは、もう一つしかな かった。 「でいぶはごごでず! ぢびぢゃんのかわりに! でい゙ぶをどっがーんぢでね゙!」 子れいむの金切り声よりも、もっと大きな声でありますように。声をかぎりに親れいむ は叫ぶ。二匹からだいぶ離れた場所が爆発した直後、子れいむは跡形もなく吹き飛んだ。 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙……ゆっくりしたけっかがこれだよ……」 不意に、親れいむの正面の壁が開いた。壁の向こうはれいむのいる部屋と全く同じで、 床に格子の模様が描かれ、どれも黒く焦げている。そして、いくつかの格子にはボロクズ になっても見間違えるはずもない、黒い煤けたとんがり帽子の残骸と、つぶあんだったゴ ミが飛び散っていた。 「ば、ばでぃざあ゙あ゙あ゙?! ゆっくりしていってね!? ゆっくりしていってね?!」 答える者は誰もいない。朝まではみんな仲良くゆっくりしていたれいむの家族は、今や 一匹残らず物言わぬゴミ。あんよの動かないれいむが一匹、家族の残骸を見つめていた。 「おみずざんはゆっくりでぎないよ! がぼっ、やべでね゙! ゆっくりじでね!」 壁の穴から勢いよく流れこむ水が、床にこびりついたしあわせ家族を押し流し、排水口 に消えていく。奇麗に流れたあとは、爆煙とあんこで汚れた床も元通り。遊技場にゆっく り一家がいたことを示す物は、スコア表だけだった。 れいむ:1 まりさ:0 [1P WIN] 森に魚を求める とか書きました。 09/07/20 書き直し このSSに感想を付ける
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「んほおおおおおおおおッ!」 「すーりッ!すーりッ!んむほぉ!」 戸を開けるとお茶の間はクライマックスであった。 窓を割って家に侵入したれいむとまりさは床を泥で汚し、 障子を破り、1週間分の食料を食い散らかし、瓶に入った水を撒き散らした後 ちゃぶ台の上で絡み合い、今フィニッシュを迎えようとしていた。 「す、すすッ!すっきりするよ!すっきりするよ!」 「ま、まりさもすっきりするのぜ!するのぜぇぇl!」 汗と涎と謎の液体を撒き散らしながら恍惚の表情を浮かべる二匹。 ヌメヌメと蠢く饅頭は家の明かりが反射してテカテカと光っている。 そのヌメヌメした饅頭がこちらに気が付き、ブサイクな顔になる。 「んほぉッ!なにみ゛てるの゛ぉ!?ここは・・・れいむの・・・ゆっくりほぉ!」 「なにみてるほぉんのぜへぇ!んんっすっすっき!ぷれいす!んほぉ!」 お約束のお家宣言をはじめようとするが、クライマックスだったので すっきりとお家宣言のどちらを進行すればいいのかわからず、二つの行動が混ざる二匹。 結局、見られながらするのも悪くないのぜ、という結論に落ち着いたのか ニヤニヤとこちらを見ながらすっきりを再開する二匹 「むほぉッ!まりさ!すっきりするよ!ゆっくりした赤ちゃんを産むよほぉおおぉぉッ!」 「んっほぉぉぉぉッ!れいむぅぅ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしてい゛っ・・・」 人間はすっきりする寸前を見計らってまりさを蹴り飛ばし、となりにダルマの置物を置いた。 「すッ!すすすっき・・・ゆゆっ!?」 れいむが何時の間にやら隣に居るのがまりさでは無くダルマという事に気が付き 恍惚の表情から一転、クワッと白目を剥いた。 「だれ゛な゛の゛ッ!?ゆっぐりじないで!・・・・すっきり、ゆげぇッ!?」 スケベDVD鑑賞中、突然男優のアップに切り替わった所で絶頂を迎えてしまった時の如く テンションの低いすっきりでフィニッシュを迎えてしまったれいむ。 急激に熱が引いていく体からすっかり冷たくなった謎の液体をポタポタと滴らせ、無表情でダルマを見つめている。 一方、まりさは蹴られた事にすら気が付いておらず、うつ伏せになって必死に畳に体を擦り付けていた。 「すっ!すっ!すっ!すっ!」 もはや頭の中はすっきりの事しかないらしく、隣にはれいむが居ない事にも気が付いていない。 歯をむき出し、目を血走らせながら一心不乱に畳相手のすっきりに勤しむまりさ。 そんなまりさの後頭部に足を乗せると全体重をかけて一気に踏み潰した。 粘液だらけで湿っていたので皮は破裂せずに全身の餡子が体の下の方へ移動し、特大のうんうんを漏らした。 「すっ!すっぽろぉッ!!」 上半分を踏み潰されたまりさは動かなくなったが、 一回小さく痙攣すると次の瞬間狂ったように足の下で何度も跳ね上がった。 足をどけてやると上半分をペラペラさせながら奇声を発し、壁に体当たりを繰り返してる。 れいむの方を見ると植物型のにんっしんをしており 茎から生えてきた子供は全員れいむ種であるが、何故か全員無表情で遠い目をしている。 すっきりの相手がダルマだったからであろうか?よくわからんがおめでとう。 そんなれいむがこちらに気が付いた。 「ゆっ!さっきからうるさいよ!ここは・・・」 「ここはお前たちのゆっくりプレイスでいいよ」 「ゆっ!?」 「でも今からお兄さんのゆっくりプレイスにするよ、嫌なら勝負だ」 「ゆ゛ゆ゛っ!」 とんとん拍子で進んでいく話に対応できないれいむ ここはれいむのゆっくりプレイスと言ったものの実は人間のゆっくりプレイスという事は理解していた。 しかし、何故かここはれいむ達のゆっくりプレイスであるらしく、 それを人間が横取りしようとしていて勝負をしなくてはならない。 そういえばまりさは何処に?子供が居ては勝負どころではない。 実はれいむのゆっくりプレイスでは無いことを人間に伝えた方がいいのだろうか? しかしそれでは、れいむ達のゆっくりプレイスになったこの場所を手放すハメになる。それはこま 「ゆぴぃ!」 考えがまとまる前に人間の平手打ちがれいむの頬を打つ。 倒れこみ体が平たくなるれいむ。 その時、頭のてっぺんが突っ張るような感覚・・・ 頭から生えた茎が撓っているのだ。このままの体勢では茎は折れてしまう。 「ゆっくりおきるよ!ゆべっ!?」 れいむが起き上がった途端に再び人間の平手打ちが入る。 その衝撃に叩かれていない方も頬までブルブルと震えた。 また地面に倒れこみ茎が撓る。 「起きるんだ、これからお前を10回殴る」 「どぼじで!?」 「理解しなくていい、そうしたらまりさの怪我も治してやるし、お前たちをお前たちの巣まで送ってやる」 わけがわからない。 ふと見ると、まりさは上の部分がペラペラになって奇声を発しながら壁にすりすりを繰り返している。 一体何があったのか?しかし自分があと8回殴られれば、この馬鹿な人間は自分のゆっくりプレイスを 横取りされかかっていた事にも気が付かずに無事に巣に返してくれるどころかまりさも治療してくれるらしい。 人間は思っていた以上に力はあるが、頭は足りないようだ。 「ゆっくりりかいしたよ!とっととれいむを巣にかえしてね!」 結論から言うと、それかられいむは2回の平手打ちで根をあげた。 ゆっくりが死ぬ程の力で殴ったわけでは無い、加減をして潰れないように配慮をした。 にもかかわらず、今れいむは頭から生えた茎が撓り、折れそうになっているのも 負傷したまりさが徐々に動かなくなって壁に横たわり痙攣をしはじめたのにも関わらず。 起きようとせず、頬を膨らませ人間からもまりさからもそっぽを向いていた。 「どうした?まだ2回だぞ?」 「ゆっ!れいむはいたいのはもういやだよ!」 「茎が折れそうだぞ?このままだと子供が危ないぞ、それでもいいのか?」 「人間さんがもうなぐらないなら、おきあがってあげてもいいよ!」 「まりさはどうするんだ?ゆっくりじゃあの怪我を治すのは無理じゃないのか?」 「まりさがかってにああなったんだよ!れいむがゆっくりすればまりさはなおるよ!」 「そうしていても巣には帰れないぞ?夜になれば山道は捕食種だって出るぞ?」 「なにいってるの?ここがれいむのゆっくりプレイスだよ!人間さんはとっととでていってね!」 人間は何も言わずにれいむの頭から茎をむしり取った。 「ゆげぇ!!な゛に゛じでる゛の゛ぉぉぉ!!れ゛い゛む゛の゛おぢびじゃんがあああ!」 身を震わせ大粒の涙を撒き散らしながら号泣するれいむ。 この村では野生のゆっくりが家を荒らせば殺すことにしている。 しかしこの人間は家を荒らされても、毎回さっきのようにルール付きの暴行を加え巣に返していた。 ただ殺すよりも、人間への恐怖を植えつけて群に返したほうが、子に、群のゆっくり達に 人間は危険だという認識を植えつける事ができ、こういった事態を未然に防げると考えたからだ。 実際、いままで進入してきたゆっくり達はこの暴行に耐え、巣に帰って二度と里に下りては来なかった。 しかしこのれいむは耐えられる筈の痛みを拒否し、自分の番や子を見捨てようとしている。 おままごと感覚でまりさと番になり、人間の家に侵入し、自分勝手に子を宿した。 そして今、身を震わせて泣き喚き、被害者面をしている。 この村の生活はあまり裕福ではない。一週間分の食料は笑い事では済まされない。 村の中ではゆっくりに対して破格の対応をしていたこの人間を持ってしてもこのれいむは許せなかった。 「ぎげぇ!にんげんざん!おぢびじゃんをがえぜええええ!」 目を血走らせながら人間の足に噛り付くれいむ。 人間はそれを振りほどく、れいむは壁にあたり「ぽてん」とシュールな音を立てた。 「ゆげぇッ!い゛だい゛!」 そんな音とは裏腹に大声をあげるれいむ。それを無視して人間は部屋から出た。 暫くして戻ってくると手には黄色い液体が入った小瓶が握られていた。 それに赤ゆっくりの茎を入れる。無表情だった赤れいむ達の顔がすぐさま形相を浮かべる。 「い゛だぃぃぃぃ!い゛だぃぃぃぃ!」 振りほどいただけなのにさっきから死にそうな声で苦しんでいるれいむ。 もう赤ゆっくり達の事など眼中に無いようだ。舌を伸ばしぶつけた頬を必死に舐めている。 れいむは放置してまりさの治療をする事にする。 床にこんもりと盛られた餡子を鷲づかみにしてまりさのあにゃるから体に戻してやる。 無言で痙攣を繰り返すだけになっていたまりさの目が「んほぉ!?」と見開いた。 それから下半身?に寄った餡子を全身に行き渡るように整えてやり、頭からオレンジジュースをかける。 ぐったりとしていたまりさだったが、徐々に「なんかあまいのぜ」と言い出し回復した。 「もっとよこすのぜ」と言い出した辺りで平手を喰らわせ、ちゃぶ台の上に乗せる。 「ゆっ?ゆっ?ごはん?」 「手短に言うぞ、理解できなければお前はもう死ぬしかない、いいな。」 「どぼじで!?」 「お前らは俺のゆっくりプレイスを勝手に荒らした。わかるか?」 「わから・・・・わかるのぜ!」 本能でスッとぼけようとしたが、いとも簡単に自分を瀕死にさせた上、今こうして回復させている事に 圧倒的な力の差と今自分が置かれた立場を理解したのか、すぐさま訂正するまりさ そして自分の隣で苦悶の表情を浮かべている赤ゆっくりと畳を転げまわるれいむの姿を見つけガタガタと震えだした。 「お前は俺に何をした?言ってみるんだ」 まりさは困った顔をして震えていたが、やがてボソボソと喋り始めた。 「人間さんの巣へいったれいむをつれもどしにここにきたんだけど・・・ きがついたらこんなことになっていたのぜ・・・ゆっぐりごべんなざい・・・」 馬鹿には違いないがれいむと違って救いようの無い馬鹿では無いらしい。 恐らくれいむを止めに家に侵入したものの、ゆっくりにとっては珍しい品々に気を取られ 遊んで腹を膨らませその勢いですっきりに突入したのであろう。 「まりさはどうなってもいいから・・・れいむとおちびちゃんだけはたすけてほしいのぜ・・・」 「無理だな、れいむを見逃すつもりは微塵も無い」 「お、おぢびじゃん・・・・だけじゃ・・・しんじゃうのぜ・・・」 まりさの代わりに赤ゆっくりだけ助けても到底生き残ることはできない。 れいむも助けてもらわなければ、結局赤ゆっくりの末路は死である。 「お前と赤ゆっくりで帰ればいいだろ」 「ゆっ・・・れいむを見捨ててまりさは帰れないよ・・・」 「ぞっ!ぞうだよ!ゆっくりれいむをたすけてね!」 いつの間に話を聞いていたのか、さっきまで死にそうな顔をしていたれいむが 畳の上を跳ねながら喚いている。 「おちびちゃんはれいむがゆっくりそだてるよ!まりさはここでゆっくりしていってね!」 「ゆゆぅ・・・れいむ・・・」 「決まったな」 人間はまりさを透明な箱に入れ、ゆっくりでも部屋の全体を見渡せる机の上に置いた。 「お前は帰してやる。少しここで待っていろ」 透明な壁に顔を押し付けるまりさ 「やめてね!まりさがれいむのかわりになるからね!れいむはたすけてね!」 「ま゛り゛ざがや゛る゛っでいっでるでじょおお!ゆっぐりりがいじでねぇぇぇ!」 汁を撒き散らしながら暴れまわるれいむ。畳の上を転がりまわり、飛びはね、叫んだ。 人間はそれをただジッと無表情で見ていた。 やがて息を切らし「ゆひゅーゆひゅー」喚き疲れて肩?で息をするれいむ。 「気が済んだならはじめるぞ」 「ゆ゛っ!!ぎい゛でね゛!どうじで!わ゛がっでぐでな゛い゛の゛!?」 まりさが身代わりになると言っているんだからそれでいいではないか れいむはもう痛い目にはあいたくない、まりさが「やる」と言っているのだ。 何故こいつは理解できない?馬鹿なのか?死ぬのか?何故だ何故何故・・・ 「ぎっ、ぎげぇぇぇ!れ゛い゛む゛はい゛や゛だって゛い゛っでる゛でじょおおおお!!」 「駄目だって言ってるでしょう」 人間はれいむを座ったままの姿勢で両足に挟んだ。 村はずれにはゆっくりを殺す為の様々な器具を持っている変わった村人がいるが そんな気の利いたものはここには無い。”見せしめ”は全て素手で行わなければならない。 「まりさ、群に戻ったられいむがどうなったかゆっくりと話して周れよ」 人間は無造作に両手の爪をれいむの額に当てると一気に掻き毟った。 「ゆ゛っ!!ぎゅっ!ばっ!ばばっ!やべっ!でっ!がっ!」 バリバリと音を立てながら少しずつ削れて行くれいむ、やがて乾いた音は湿った音になり 掻き毟るたびに餡子がしぶきの様に飛び散った。 縦、横、斜め、あらゆる方向かられいむの顔面を掻き毟る人間。 「やめてね!人間さん!れいむはいたがってるよ!ゆっくりさせてあげてね!」 箱の中から人間に懇願するまりさ、人間はそんなまりさの声には一切耳を貸さず一心不乱に作業を続けた。 やがて5分もするとれいむは叫び声もあげなくなり、時折ゆ゛っ!とくぐもった声を漏らすだけになった。 人間は立ち上がりれいむを先程とは比べ物にならない程の強さで蹴り飛ばした。 パァン!と乾いた音が響き、れいむは壁にへばりついた後、 少し間を置いてからズルズルと餡子の跡を残しながら床に落ちた。 「さっきより強く蹴ったのに「いたい、いたぁい」って言わないんだな」 れいむの口から発せられるのは荒い呼吸音だけである。 「かひゅー、かひゅー」と苦しそうに苦悶の表情を浮かべている。 顔の皮はズタズタに引き裂かれ、目はこぼれてしまいそうな程見開かれている。 それを受け止める瞼はもうその機能を果たしていない。 歯はむき出しになっており、ガチガチと音を鳴らしている。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛る゛・・・じでっ!ごっ・・・!ごべな゛ざい゛」 目を泳がせながられいむの口から初めて謝罪の言葉がひねり出された。 しかし全てが遅すぎた。人間は構わずれいむの顔面の傷口に手を突っ込んだ。 「ゆ゛っ!ゆ゛ゆ゛ん゛や゛ぁぁぁぁ゛!!」 掻き毟りと蹴り飛ばしの上を行く激痛に再び声をあげるれいむ。 このまま引き散って終わりでいいだろう。ネチネチと痛めつける趣味も無い。 まりさは涙を流しながられいむの事を叫んでいる。その涙は箱に溜まる程だ。その時である。 「ゅ・・・・・」 ちゃぶ台の上から声が聞こえる 「お゛っ!おぢびじゃん!!に゛ん゛げんざん!れ゛い゛む゛の!おぢびじゃんをみで!ゆっぐりじでぇぇぇ!」 れいむが赤ゆっくりの声に気がつき、注意をそらそうと叫んだ。 黄色い液体に浸けた赤ゆっくりが早くも産まれようとしていた。 母体から赤ゆっくりの生った茎を切り離しても糖分を含んだ液体に浸けておけば問題なく赤ゆっくりは産まれる。 「ゅ・・・・がっ」 しかし今回赤ゆっくりに浸けたのは塩素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン酸などのイオン、 クレアチニン、尿酸、アンモニア、ホルモンを含む塩分が豊富な黄色い液体である。 ボトリ、と茎から切り離された赤ゆっくりは弾むことなく、地面に着いた部分は平らになりそのまま動かない。 「れ゛い゛む゛のおぢびじゃんはがわいいでじょ!!それをあげるがら!れいむはだずげでべ!」 れいむからはこの梅干のような赤ゆっくりが見えていないのか、 かひゅかひゅと傷口から空気を漏らしながら、自信ありげにれいむはゲラゲラ笑った。 この糞饅頭は産まれた子供を自分の身代わりにするつもりのようだ。 空気漏れをおこす糞饅頭の前に梅干を置いてやる。 「ゆ゛っ!?な゛に゛ごれ゛」 赤ゆっくりの目は虚ろで、歯を食いしばりプルプルと小刻みに震えている。 赤ゆっくりは前に進む事ができないので体を転がすと地面に接していた部分が粘土のように平たくなっている。 「ゅ・・・っ・・・じ・・・ね゛」 「ゆ゛ゆ゛っ!!」 赤ゆっくりは思った。ゆっくりしたいがゆっくりできない。ゆっくりできないのは何故か? ゆっくりを産んだのはお母さんである。お母さんは自分を存分にゆっくりとさせる存在だ。 それなのに産まれる前から全身に激痛が走り、ロクに動く事もできない、言葉も発せられない、 きっとゆっくりできない親から産まれたからだ。だからそんな親はゆっくりと言わず急いで死ねばいい。 「じ・・・ね゛!じ・・・じね゛ぇぇぇ!」 「ゆがぁぁぁぁ!」 小さい梅干から発せられる殺気にれいむはしーしーを漏らしながら、尻で後ずさりした。 壁に頭をぶつけ、ビクッと体を振るわせて、横方向に後ずさる。 そこには人間の足、手には茎が刺さっていた小瓶が握られている。 「だずげで!あ゛れ゛を゛ごろ゛じでぐだざい!おでがいじばず!」 「駄目だね」 小瓶に入った液体をれいむに垂らす。 「ぴっみゅぅぅぅ!!」 塩分を豊富に含んだその液体はれいむの傷口から体内に侵入した。 れいむに焼けるような激痛が走る。 春先に丸々太って窓に体当たりを繰り返す蝿のように部屋中をのたうち回るれいむ。 人間は目の前に跳ねてきた時を見計らい足で踏みつけ動きを止めた。 「はびゅっ!?」 目はギョロギョロと動き回り、舌はだらりと垂れ下がっている。 足から何とか脱出しようとあらゆる方向に体を揺さぶるれいむ。 しかしゆっくりの力では人間の力には到底適わない。 「じっじね゛ぇぇぇぇ!ゆ゛っぐり゛ごろ゛じはぞぐざに゛じね゛ぇぇぇぇ!」 もはや何故こんな目にあっているのかもわからないようだ。 いや、初めからわかっていなかったのかもしれない。 「じに゛だぐな゛い゛!じに゛だぐな゛ぁぁぁぁい!」 見る人によってはかわいらしい顔に見えるらしいその顔の面影はもはやない。 気がつけば、箱の中のまりさは餡子を吐いて気絶している。 どうやら暫く無駄な時間を過ごしたようだ。まりさが見ていなければこの虐待には何の意味も無い。 「じに゛だぐな゛い゛!じに゛だっ・・・ゆ゛ん゛っ!!」 人間はれいむを踏みつける力を強めた。 「わかったよ、そこまで言うなら殺すのはやめにしてやるよ、だから黙るんだ」 「ゆっ!ゆゆゆゆ!ゆっぐりりがいじだよ!ゆっぐりだまるね゛!」 汚い顔面からこぼれそうな笑みを浮かべるれいむ。 実際、眼球はこぼれかかっているが・・・ このクソ饅頭はどんなに痛めつけても反省はせず、ただ理不尽だと叫んで死ぬだけであろう。 人間はここで名案を思いついた。そんなに死にたくなければ、ずっと生き続ければいい。 ただし、ゆっくりなど二度とできないが・・・ 「ゆっ・・・?」 まりさが目を開けると周りには赤ゆっくり達が居た。全員れいむ種である。 「「「「ゅ・・・ゅ・・・」」」」 全員いびつな顔をしており、時折フルフルと身を震わせ、言葉もロクに喋れないようだが 先程の梅干のような痛々しい姿に比べたら随分とマシになっていた。 そんな赤ゆっくり達がまりさの横でゆっくりと体を揺らしている。 恐らくはすりすりのつもりなのだろう。 「おっ・・・おちびちゃん・・・!に、人間さんが治してくれたの!?」 「そうだ、オレンジジュースだと溶けて死んでしまうかもしれないと思ったからこれを使ってみた」 人間の手元の壷の中に入っているのは蜂蜜であった。 梅干のようになった赤ゆっくり達の体を蜂蜜でコーティングしたのだ。 それをゆっくり吸収して干からびた粘土のような体は幾分か回復した。 と、行っても普通の赤ゆっくりには程遠い、そしてこれからもこれ以上の回復の見込みは無いだろう。 「ゆっ!まりさ!そんなゴミクズはほおっておいてとっととこっちへきてね!」 「ゆゆっ!?れいむ!?どぼじで!?」 まりさと赤ゆっくり達が入った箱の隣にはそれよりやや小さいサイズの箱がありその中にれいむは居た。 れいむもまた皮に爪の跡が薄っすら残っているが、先程とは比べほどにならないほど元気になっていた。 「れいむはゆっくりはんせいしたよ!だからもっとあまあまをちょうだいね!」 人間は無言で壷の蜂蜜をすくいれいむに垂らす。 それを大きく開けた口で受け止めると、身を震わせて喜んだ。 「うめっ!めっちゃこれうめっ!じあ゛わ゛ぜッ!」 「ゆゆ!どういうことなの?人間さん!?ほんとうにれいむをゆるしてくれたのぜ!?」 「そんなワケ無いだろ、これから仕上げだ」 れいむは人間が殺さないと言い、手当てをはじめたので勝手に許されたと思っていただけだった。 人間はガムテープをれいむの口に貼った。 「ゆむぅ!?ゆゆゆゆゆゅ!?(なにしているの!?)」 そして箱に壷に入った蜂蜜をどんどん流し込んでいく。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!?ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!?(やめてね!おぼれるよ!!)」 あっという間に箱の中は蜂蜜で満たされた。粘液の中を漂うれいむ。 人間は箱の蓋を閉め針金を使って蓋を固定している。 「ゆ゛っ!ゆ゛!ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 息ができずにもがくれいむ。しかし口を塞がれて蜂蜜を飲み込む事ができない。 これでは餡子を吐き出して気絶して苦しみから逃れる事もできない。 「ゆ゛っ!!む゛っ!!むごっ!!ばびひ!!」 苦しさから物凄い勢いで体を収縮させるれいむ。高速でのぷくぅ!とぷひゅるる!の繰り返しである。 顔を真っ赤にし狭い箱に体を押し付けてもがいている。 ゆっくりの餡子脳でも即座に理解した「出口は無い」 しかしそれでも無い出口を求めて箱の中で身をくねらせ続けた。続けるしかなかった。 そしてもうひとつ理解した。 粘液の中では溶けて死んでしまう事もできなかった。 これからずっと箱が壊れるまでの数ヶ月、あるいは数年かを窒息の苦痛に顔を歪ませながら動き続けるだろう。 それから数時間後、人間とまりさ達はゆっくりの群を目指し、夜の山道を進んでいた。 「置いていくぞ、はぐれたらすぐに捕食種が来るだろうな」 赤ゆっくりを帽子に乗せすり足で進むまりさと比べて人間の足取りは速かった。 「ゆっ!まってね!人間さん!まりさはそんなにはやくうごけないのぜ!」 「知らないね」 人間にとってまりさはもう必要では無くなっていた。このれいむの箱だけで群のゆっくりの脅しには十分だ。 この箱を群の集落の中央に設置すれば、馬鹿なゆっくりでも毎日人間の怖さを痛感するであろう。 ゆっくり達が巣を捨て山から離れればそれはそれでもいい、そうしたらこの箱と同じものを山の至る所に設置しよう。 そうすれば山を住処にするゆっくりなど今後現れないだろう。 「ゆぅ!まってね!ゆっくりしていくのぜ!人間さん!」 まりさが通った地面には餡子がこびりついている。 足の裏の皮が破れたのであろう。人間との距離は更に広がっていく 「ゅ・・・ぉ・・・が・・・ぢゃ・・・」 「ぎょ・・・・ゎ・・・ぃ・・・ょ・・・」 赤ゆっくり達も帽子の上でガクガクと震えだした。人間の姿はもう豆粒ほどの大きさになっている。 れいむはまだ死んではいない、人間が帰ったらゆっくりと箱から出してあげればいい おちびちゃん達もどんどん回復している。 きっとこの調子なら他のゆっくりと同じようになるのにはそう時間はかからないだろう。 でも今は足が凄く痛くて、周りはとても暗くて、どうしようもないくらい怖かった。 「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!」 呪文のようにゆっくりを連呼するまりさ、 果たして群のゆっくり達は、れいむを箱から出すのに協力してくれるだろうか? 全然ゆっくりしていない赤ゆっくり達は群のゆっくりに歓迎してもらえるだろうか? これだけ餡子を漏らしたまりさを捕食種は見落としてくれるだろうか? 「ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくり!!」 まりさは声を張り上げた。もう人間の姿は見えない。 餡子の匂いに気がつかなくても、この声は捕食種に届いたかもしれない。 また少し、まりさの生存の可能性が減った。 おしまい このSSに感想をつける
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猫とゆっくり ※猫がかわいくありません。あと全員オス。 [アピール] 白黒ぶち模様の猫が、民家の前でひなたぼっこしている。 木造にガラスの引き戸。やや古い造りだがよく手入れされている家だ。 並べられた鉢植えも程よく剪定されている。 「ゆ! なんだかゆっくりできそうなばしょを みつけたよ!」 そこに現れたのは場違い・オブ・場違い、ゆっくりれいむだった。 ぼすん、と猫の隣にその尻を下ろす。 『うわ、うっせーのが来た…』 人に慣れた猫なら、ゆっくりの言葉はだいたい理解できる。 逆にゆっくりが猫の意図を理解することはほとんどない。 猫のボディランゲージを汲む、つまり空気を読むことができないからだ。 動物として致命的な欠点ではないかと思われるが、ゆっくりだからしょうがない。 「ゆう、ひなたぽかぽか~。 ねこさんも、れいむのゆっくりぷれいすでゆっくりしていってね!」 『ここは俺様の縄張りだっつーの! 出てけ!』 猫は不機嫌を態度で示しているが、れいむは気付かずぽよんぽよん跳ねる。 彼がれいむを八つ裂きにしないのは、ここを汚したくない理由があるからだ。 「ゆっゆっゆ~ねこさんとゆっくり~♪」 『願い下げだっつーの。早くおばさんこねえかな…おっ!』 響く足音に、横へ伏せていた耳がピンと立つ。 「セールだからって、買い過ぎちゃったかしら」 おばさんこと、この家の家主が帰ってきた。両手に買い物袋を提げている。 「ゆっ! おばさん! ゆっくりしないでれいむにおいしいものちょーだいね!」 このれいむ、買い物袋=食糧がいっぱい、ということを知っている。 おお、卑しい卑しい。 「…あら、ゆっくりだわ、やだわあ」 おばさんは汚いものを見る目でれいむを一瞥すると、扉の鍵を開けにかかった。 『ハン。これだから饅頭は。おねだりってのはなあ、こうやんだよ!』 格の違いを見せてやらん、とばかりの猫。前脚をきちんと揃えて座り、 極上のマスカットのような黄緑の目でおばさんを見つめる。 じっと見つめる。そしてトドメに甘く切ない声で「うにゃあん」とひと鳴き。 しつこく鳴かないのがポイント。 「もう、しょうがないねえ」 おばさんは上がり框に買い物袋を置くと、戻ってきて猫を撫でた。 「おいで、お刺身ぐらいならあるよ」 『あんた今日もいい女だぜ』 猫は、おばさんの足にすりすりしながら玄関の中へついていく。 お邪魔するのは土間まで。これも長くお付き合いするポイントだ。 「おばさん、れいむは? れいむのごはんはー!?」 れいむの要求をよそに、おばさんは玄関をぴしゃりと閉めた。 「やっぱり猫はかわいいわねえ、厚かましくないし」 『ゆっくりは光合成でもしとれや。じゃーな、二度と会わねえことを祈るぜ』 「れいむのごーはーんーはー!? ゆあああああああああん!」 ガラスに映るシルエットは、近所のお兄さんがいつの間にか持っていった。 [集会] 『あいつらウザくね?』 『マジウザい』 『隣街のミケさんが食ってみたら止めらんなくなって死んじまったらしい』 『ゆっくり中毒かよ』 『中身餡子らしいな…糖分ヤバいぜ』 『ボコります?ボコっときますか?』 『いや、殺るのはともかく、あんなもん散らかしたら人間に怒られるし』 『現状維持だな』 『『『ですよね~』』』 『んじゃゆっくりは適当に放置ということで』 『質問!』 『はいどうぞ』 『場合によってはボコってもいいですか?』 『あー、やるならきっちりトドメ刺しとけよ。放っとくとうるさいかんな』 『わかりました!』 『若いっていいねえ』 「わあ、猫の集会だー」 「よく見かけるよ。何話してるんだろうね」 「今度エサあげてみよっか?」 「勝手にあげちゃ駄目だよ。この子たち毛ヅヤがいいから、 どっかでちゃんと食べてるさ」 「ふーん、そーなんだ」 『食えないゆっくりより、食わしてくれる人間の方が使えるよな』 『『『ですよね~』』』 [狩り] 本能とは生まれながらに備わっているものであり、逆らうより従う方が楽なのである。 ここにもそんな猫が二匹。 『実際んとこ、ゆっくり見てるとウズウズすんの俺だけ?』 こちらの先輩格の猫、どうやら先日の集会に不満があるようだ。 『わかります。あの小さいやつ、たまりませんな』 無難に追従する舎弟。 『…いっとく?』 周囲を見回し、こっそりと提案。一応後ろめたさはあるのか。 『怒られませんか?』 『まあちょっとぐらい。んじゃ行くか』 『えーちょっと待ってくださいよー』 そう言いながらも、あまり嫌そうではない後輩猫であった。 さて不運か幸運か、この二匹が出会ったのはありす種だった。 「あら、ねこだわ。ゆっくりしていってもいいんだからね!」 「「「ねきょしゃんだー」」」 成体ありすと、六匹の子ありすの一列縦隊。 『おーう大漁大漁』 『こいつら初めて見るっす。何て種類っすか?』 『さーな。まあゆっくりなことにゃあ変わらんだろ』 『確かに』 「ちょっと、へんじぐらいしなさいよ!」 『じゃ、俺こっちから、お前そっちから』 『了解』 「くびわもしてないし、ぜんぜんとかいはじゃないわ! しょせんのらねこね!」 「「「のりゃねきょね!」」」 そう、野良猫。よほどきっちり躾られた猫でもない限り、猫というのはなんでも 食べようとする生き物なのだ。 そして自然から離れてもなお、ハンターとしての能力は失われていない。 「にゃ、にゃにしゅるのぉっ!」 「はにゃしぇー!」 まず犠牲となったのは子ありす。二匹がそれぞれ前脚で押さえつけ、顔を見合わせる。 『んじゃ、ひとくち』 『いただきまーす』 「あぎゃぎゃぎゃぎゃ」 「もっちょ…ゆっきゅ…」 「ああああありすのあかちゃんんんん!」 『こっ、これは…』 『なんて芳醇な香り…!』 『…カスタードクリームだ! 昔人間んとこで食べたことあるぜ!』 猫は脂肪分の多い食べ物を好む。カスタードクリームは、餡より遥かに蠱惑的だった。 「ありすの、ありすのたいせつな…」 「おかあしゃーん! おねぇちゃんがー! ゆうううう!」 我を失っているありすたちに、四個の光る眼が向けられた。 『『ひゃっはぁぁぁ! くりーむだぁぁぁ!』』 子ありすを銜え、フンガフンガと荒い鼻息をつく猫二匹。 本能に従い、ありすたちを近くに留められていた車の下へと引きずり込んだ。 成ありすは二、三撃食らった後、引きずられて運ばれた。 「ゆぎゅっぎゅぎゅぎゅぎゅ…ありすの きぬのようなおはだが…」 地面に描かれる、カスタードクリームのライン。 鋭い爪と牙は、ありすたちの体に沢山の小さな穴を開け、動く力を失わせていた。 「いやぁぁぁぁぁ! ねこしゃんやめてぇぇぇぇ!」 「おきゃあしゃん、たしゅけてぇ!」 「ありすのおはだ…かみのけ…」 「ありしゅ、しゅっきりしてみちゃかったにょに…」 『うめ!めっちゃうめ!』 『カスタードぱねぇっす!』 体も車もべちょべちょに汚したこの二匹は、この後人間に捕獲された。 こっぴどく怒られたのは言うまでもない。 処分されず飼い主が決まったのは、猫には甘い神様のおかげだろうか。 作 大和田だごん むしろ猫が書きたくて書いた。 このSSに感想をつける
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『ゆっくり釣っていってね!!!』 「ゆっくり釣っていってね、か」 私の前にはそびえ立つドーム状の建物。 その入り口上方の大きな看板にはれいむとまりさが「ゆっくり釣っていってね!!!」と絵の中で叫んでいる。 ここは屋内式の釣堀、それもゆっくりを釣るための釣堀だ。 大きな建物の中には2mほどの深さ、面積は3m四方程度に掘られた穴の中にゆっくりが何匹も閉じ込められている。 そんな釣堀が建物の入り口から向こう側までズラリと並んでいる。 このゆっくり釣堀は数ヶ月前、『キャッチ&イート』の宣伝文句と共に開かれて大ヒットを博した。 使うのは釣竿と釣り糸、釣り針といった基本的な釣り道具。 後はゆっくりを釣る為の餌、さらにはこの釣堀にある様々な特徴を持つ釣堀に合わせたルアーである。 それらの道具は全て無料でレンタルできるので手軽にゆっくり釣りを体験できる。 そして釣ったゆっくりは宣伝文句の通りにその場で食べて良し、持ち帰っても良しである。 ただしその場で叩き潰したり、釣堀の中のゆっくりを殺すようなことをするのは他の客にも迷惑なので止めましょう。 というよりもそんなことしたらガチムチの店員さんに追い出されます。 まあ、ルールというかマナーを守れば在る程度自由が利く。 それがこの釣堀の人気に繋がったのだろう。 かくいう私もこの釣堀が気に入っており、今や常連である。 いつもは釣りを楽しむために来ているのだが、今日はうちで飼っているゆっくりの遊び相手を釣りに来た。 釣り道具を持参する私はまず受付で店員に会員カードを渡し、レンタル不要の旨を伝える。 後は店員から番号札を受け取りって会場へと入場した。 ゆっくり釣堀の建物に入るとまず聞こえるのはゆっくり達の悲鳴だ。 「あ"あ"あ"あ"あ"!!」 「ごっぢごないでー!!」 「い"や"あ"ぁ"ぁ"ぁ"! あがじゃんがえじでぇぇ!!!」 「ぼうしかえして! あああ!!! ぼうしたべちゃらめぇぇ!!!」 とまあこんな具合で建物全体に響いて一つのBGMとなっている。 私はその心地よいBGMに聞きほれながら目的の釣堀へと歩いていく。 複数ある釣堀には難易度が設定されていて、入り口から遠いものほど難易度は高い。 私が目的としているのは五本の指に入る難易度の釣堀の一つで、期間限定の釣り堀だ。 割と奥の方にあるのでそれなりに歩く必要はあるが、着くまでに他の釣堀の様子を眺めて楽しむこととしよう。 例えば入り口近くにある釣堀。 そこからはゆっくりの元気な声は聞こえない。 釣堀の中にいるゆっくりはどれも飢えさせられている。 そのためゆっくり用の餌を釣り針にセットしてぶら下げれば入れ食いである。 そんなわけで難易度は最低レベルだが釣り上げる楽しみを知るにはちょうどいいかも知れない。 しかし慣れた人なら釣る以外の楽しみ方が出来る。 ちょうど一人の男がやっているそれもその一つ。 「………」 「ゆあー……」 その男が垂らす餌の周りのゆっくりは皆一様に大口を開けて阿呆みたいに空を見上げている。 中には飢えて体力が少ないのに必死で跳ねるゆっくりもいる。 男は釣り針に付いた餌をゆっくりがギリギリ届かない高さに調整してゆっくり達の物欲しそうな顔を見て楽しんでいるのだ。 どんなに頑張っても届かない餌。 怒る元気もない飢えたゆっくり達はただ餌を見上げるぐらいしか出来ない。 ここで男は餌をほんの少しだけ降ろす。 「…ゅっ!!」 「ゆー!」 その微妙な動きに飢えたゆっくり達は敏感に反応し、もう少し降りてきたら食べてやるぞと言わんばかりに構えた。 餌はまだ届かない高さにある。 今飛び跳ねても無駄だと分かっているこの釣堀のゆっくり達はただ構えるのみ。 また餌がほんの少し下がった。 「ゅ…っ!!」 「……!!」 ゆっくり達の体がピクリと動く。 また餌が少し下がる。 ゆっくり達はまた体が反応してピクリと動く。 また餌が下がる。 またピクリと動く。 そして、とうとうゆっくり達の届く高さまで餌が下がった。 「ゆゆー!!」 「そのえさもらったー!!!」 「ゆぅー!!!」 気合満点に餌へと飛びつくゆっくり達。 大きく口を開けて餌へと食いつく――はずだった。 ゆっくりが餌に食いつく寸前に餌はスルスルとまた空へ昇っていった。 そして餌はゆっくり達の届かぬ高さで停止する。 「ゆぅぅぅぅ!!!」 「あどぢょっどだったのにぃぃぃ!!!」 悔し泣きするゆっくり達をその男はニヤニヤと眺めていた。 しかしこの男、いいフェイントテクを使う。 餌に食いつかれる寸前で引き上げる。これは言ってみれば簡単だが実際にやるのは難しい。 この釣堀にいるゆっくり達のスピードや動き出すタイミングを熟知していなければ出来ることではない。 恐ろしい男だ。そういえば一週間前からこの釣堀にずっといた気がする。 その中でこのテクニックを身に付けたのだろう。 今度は飢えたゆっくり達を煽って内輪揉めを始めさせたようだった。 他にはこんな釣堀もある。 「んぼぉぉぉぉ!! まりざああああ!!!」 「こっぢでずっぎり"じまじょっ!?」 こちらは発情ありすの釣堀だ。 ちょうど今一匹釣れたようで、まりさルアーに付いている針に刺さっている。 ここはゆっくりの姿をしたルアーを使えば簡単に釣れる。 発情したありすは他のゆっくりを犯したくてたまらないので、動かない人形のゆっくりルアーでも迷わず飛びつくのだ。 そしてすりすりしようとすると釣り針が突き刺さってフィッシュされるわけだ。 逆にそれ以外の物、例えば釣り餌なんかじゃ中々引っかかってこない。 ゆっくりルアーを使えば難易度は相当低い釣堀である。使わなくても中程度だ。 もちろんこの釣堀でも他の楽しみ方も出来る。 見てみるとちょうど釣る以外の楽しみ方をしている男がいた。 「い"や"あ"あ"あ"あ"!! やべでっ! おろざないでえええ!!!」 「おねーぢゃーん!!!」 「やめでぇぇぇ!! まりざのごどもをがえじでぇぇ!!」 他の釣堀で釣ったまりさなのだろう。 生きた子まりさは頭から釣り糸付きの楔を打ち込まれて宙に浮いている。 そして男の脇にある透明な箱にはその子まりさの家族が収まっていた。 まりさ家族は泣き叫びながら男にやめてと懇願していた。 ここがどんな釣堀で、降ろされたらどうなるか良く分かっているのだろう。 特に子まりさは顔を真っ青にして震えていた。 「まりざはやぐおりでぎでぇぇ!!」 「おねーざんどいっじょにずっきりじまじょうよ!!!」 「おとなにじであげるわよおぉ!!!」 子まりさの下では複数の発情ありすが子まりさの投下を待っていた。 人間で言えば主に黒光りする蟲で溢れるプールに飛び込むような、そんな嫌悪感を子まりさは抱いていた。 あんな小さい子供のまりさでも知っているのだ。 発情したありすに捕まったら何をされるか。その結果自分はどうなってしまうのかを。 「もうい"や"だよ"お"ぉ"ぉ"!! はやぐおろじでえぇぇ!!」 「おっけー」 「ぢがっ、ぢがうの"っ! おろざないでぇぇぇ!!!」 子まりさは安全な場所に降ろしてと言ったのだろうが、あの言い方じゃ仕方ない。 男は子まりさの発した言葉に従って行動に移す。釣竿を持つ手をちょっと傾けるだけだ。 それだけで子まりさはありす達へと近づく。 しかしまだありす達はジャンプしないと子まりさには届かない。 「もうぢょっとおりできてねぇぇ!!」 「そうしたらまりさのはじめでうばってあげゆうぅぅ!!!」 「ああああ! もうがまんできないぃぃぃ!!!」 「ゆひっ!? ぎもぢわるいよぉぉ!!!」 我慢できないありす達はジャンプして子まりさにぺろりと舌を這わせる。 ジャンプしないと届かないのでスリスリは出来ないが、舐めるぐらいなら十分出来る。 涎を塗りつけるように舐めてくるので子まりさは下半身を中心に涎まみれになってしまった。 気持ち悪い舌の感触、不快な涎の臭いが子まりさの気力を削いでいく。 「きもぢわるいよ"…もうやだよ……」 体を塗らす液体はもはや子まりさの涙なのかありすの涎なのか判別が付かない。 このままずっと続けていたら皮がふやけて破れそうな勢いだった。 「おにーざん! もういいでじょ! まりざのごどもをだずげでね"!!」 「まりさおねーさんをゆっくりさせてあげてよぉぉ!!」 「おっけー」 男は子まりさの家族の言葉を聞き、子まりさを地面すれすれまで降ろした。 確かにこれなら永遠にゆっくり出来る。それまでが苦しいのだけど。 早速ありす達はスリスリできる高さまで下がった子まりさに襲い掛かった。 集団レイプである。 「まりざまりざまりざぁぁ!!!」 「たくざんすっぎりじまじょうねー!!」 「ありすいろにそめであげるぅぅぅぅ!!!」 「ゆぎぃぃぃぃ!! はなれでっ!! ぎもぢわるいよ"!! はなれでえええええ!!!!」 吊るされた上にありすに360度きっちり押さえ込まれたまりさの唯一できる抵抗は言葉だけ。 しかしそれも発情したありすからすれば喘ぎ声にしか聞こえない。 ありすは粘液の分泌量を増しながら子まりさへのスリスリを激しくしていく。 「やめでぇぇぇ!! ありずやめでよおおお!!!!」 「まりさのごどもがらはなれでよぉぉぉ!!!」 子まりさの家族の必死な叫びもありすからすればBGM、もしくは声援である。 「んほぉっ、みられてるともえるわー!!」 「まりさのかんじてるかおをおかーさんにみせてあげましょうねえぇぇ!!!」 「ゆ"う"ぅ"ぅ"!! みないでっ、みないでぇぇぇ!!!」 しかし発情ありすはいつみても気持ちが悪い。 普段のありす種は理知的だというのに発情するとこうも変わるものなのか。 「はぁはぁ、まりさ"ー! ありずすっきりしぢゃいそうよぉぉお!!!」 「ありすのあいをうげどっでねぇぇぇ!!」 「んほおっ! もういっぢゃう!!」 「いっしょにすっぎりじましょうねぇぇ!!!」 ありす達はそろそろすっきりするようだ。 子まりさの方はもう四方からありすが押し寄せてくるので苦しそうだ。少なくともすっきりとは程遠い。 「んほおぉぉぉぉ!!! すっきりー!!!」 ありす四匹は同時にすっきりし、子まりさに子種を植えつける。 後はもう四本の茎に栄養を吸われて死ぬのみ。 「あ"あ"あ"あ"あ"!! なんでずっぎりじぢゃうのぉぉぉぉ!!!」 「ありずがおねーぢゃんをごろじだぁぁ!!!」 「よーし次は赤ちゃんまりさをすっきりさせてあげようか」 「あがぢゃんだげはやべでぇぇぇ!!!」 「ゅ? あそんでくれゆの??」 男は何が起きているのか分かってない赤ちゃんまりさを掴む。 あの男はいつもああやって家族を次々とありすの釣堀に吊るして犯させている。 きっと何かそういう特殊な性癖の持ち主なのだろう。 目的の釣堀に行く前にちょっとレア種でも見てこようと、レア種を集めた釣堀に向かう。 そこではかなこ、てるよふ、もこう、おりきゃら…などなど、 そこいらでは中々見ることの出来ないゆっくりを釣ることが出来る。 ただし―― 「ゆっくりいじめてね!!」 「てんこをつりあげてね!!」 レア種の釣堀に放たれた大量のドMてんこを釣らずに突破出来たらの話である。 ドMてんこは痛めつけられること、苦しめられることが大好きな変り種のゆっくりだ。 なので釣り針なんて見ようものなら涎を垂らして釣られに来る。 そんな訳でレア種狙いなら難易度は最高レベル。逆にてんこ狙いならゆっくりでも釣れるレベルだ。 「くそーっ、またてんこかよ!! 俺はもっこもこもこたんが欲しいんだよぉーっ!!」 「もっといって! もっといって!!」 「あーもう! 何度でも言ってやんよ! てめーなんていらねぇんだよ!! 死ねよ糞てんこ!!」 「いい…!! もっとばとうしてね!!」 「畜生…! もこたんINしてくれよ…」 とまあレア種を狙うのであればてんこのウザさに耐え抜く強さが必要である。 ちなみにもこうに熱を上げるこの男は三日連続チャレンジして、すでに釣ったてんこの数は百を越えた。 それだけ釣ってもてんこが釣堀から消えないのは店員がレア種を取られぬように逐次てんこを追加しているそうだ。 「うおぉぉー! だが俺は諦めんぞぉ!!!」 大した奴だ。知らない人だが心の中で応援しておく。 さて、寄り道をしてしまったが私もそろそろ釣りを始めるとしよう。 目的としていた釣堀へ着いた私はまず最初に中のゆっくり達の様子を見る。 ここは元気なゆっくりが集められている釣堀で、数日前に森で捕まえたゆっくりの群れが放し飼いにされている。 ただ単純に放し飼いにされているならば知識が無いので釣るのは簡単。 しかしここのゆっくり達は事前に危険な物を教えてもらっているので釣り餌や魅力的なルアーに引っかかることはほとんどない。 なのでここのゆっくりを釣り上げるには釣り針を直接ゆっくりに突き立てる必要がある。 自由に動き、小回りの利くゆっくりに釣り糸の先に垂らした釣り針やルアーを直接ぶつけるのは難しい。 ぶつけるにはゆっくりの動きを上回る釣竿捌きが必要になるのだ。 まあ粘っていればいずれ釣れるのでゆっくりの動き回る様子を眺めつつ適当に釣りをするならここが一番いい。 私の場合は元気なゆっくりを持ち帰りたいと思ってここに来たわけなので、とりあえず狙うゆっくりを決めるとしよう。 釣堀の中のゆっくり達はれいむ種とまりさ種のみで形成される群れだった。 親子や恋人同士のゆっくりもいるし、大人から赤ちゃんまでのゆっくりが揃っている。 ただし赤ちゃんはこの釣堀が開いてからの数日で釣り針に体を千切られたり、逃げ惑う仲間に潰されたりでほとんどいない。 なので狙うなら最低でもバレーボールサイズ程度の子ゆっくりサイズ以上になる。 ざっと見回して目についたのがれいむ種の親子だった。 お互いに身を寄せ合ってじっとしている。 きっと狙われてないうちは体力温存のために動かないでいるのだろう。 その証拠に二匹は背中を釣り堀の内壁に付け、お互いの死角をカバーするように辺りを見回していた。 中々出来るゆっくりのようだ。 あいつらにしよう。そう決めた私は持参した釣りセットを袋から取り出して準備を始める。 「ゆぅぅぅぅぅぅ!!!」 「まりさぁぁぁ!!!」 準備しているうちに他の客がゆっくりを釣り上げたようだ。 これはうかうかしてられない。 準備の整った私は釣竿を構えて狙いをつける。 狙いはれいむ親子、まずは子れいむからだ。 子れいむはすでに私が狙っていることに気が付いていたらしく、こちらを見て身構えていた。 それなら真っ向勝負だ。 釣竿をしならせ、ルアーを子れいむに向けて放つ。 「ゆっ!? れいむあぶないよ!!」 「ゆっくりよけるよ!!」 言った割には素早い動きでその場から離れる子れいむ。 子れいむがさっきまでいた場所の少し右の壁にルアーが当たった。 軽く回避されたがそうでなくてはつまらない。 釣竿に微妙な加減で力を加えて釣り糸の先にあるルアーを操って逃げる子れいむを追う。 私の持つルアー"すりすりちようね!"は赤ちゃんれいむを模したルアーだ。 大きく目立つ釣り針が二つ取りつけてあるので疑似餌にはならないが、大きな釣り針は逃げる相手を引っかけるのには向いている。 ちなみにリモコン操作で『すりすりちようね!!』と音声を発する。だが目立つ釣り針のせいで効果の薄い無駄機能だったりする。 「ゆっくりしてね! おいかけないでね!!」 そんな事を言いながら逃げる子れいむはジグザグに逃げるので狙いが定まらない。 だが追うことがまずは大事なのだ。 残念ながら相手が動き回れるうちに捕まえられるほど私は上手くない。 しかし無理することは無い。子れいむが疲れて動きが鈍くなるまで追い続ければいいだけのこと。 逃げる子れいむを私の赤ちゃんルアーが追いかける。 大きい釣り針をぶら下げて、可愛い笑顔で子れいむに抱きつこうとする。 人間だったら大きなハサミを持った子供に追いかけられるような感じかな。 少なくとも追いかけられる側からすればたまったもんじゃないだろう。 あっちこっちに逃げる子れいむと、それを何とか助けようとする母れいむをボーっと眺めながら釣竿を操る。 もうかれこれ30分は経っただろうか。 子れいむはさすがに疲労困憊といった様子で動きは随分と鈍くなっていた。 「ゆ、ゆぅ…っ、ゆぅ…! どうじで、れいむばっかりねらうのぉ!?」 でも一応叫ぶ程度の元気はあるようだ。 30分も走ってまだ喋れるのは実は結構すごい。だからどうだってこともないけど。 「にんげんさん! れいむをねらうなられいむをねらってね!!」 母れいむは私に向って何か叫んでる。 どっちもれいむ種だと個別に呼ぶとき大変だろうなぁ。大家族だと「れいむ」と呼べば全れいむが一斉に返事しそうだ。 なんて漠然とどうでもいいこと考えていると子れいむが床にへたっていた。 これはチャンスだ。 そしてせっかくなのでリモコン操作で赤ちゃんルアーを鳴かせてみる。 『すりすりちようね!』 実際に録音したというほのぼのした音声とは裏腹に凶器を付けた赤ゆルアーが子れいむに襲いかかる。 だがそれも、子れいむを守ろうとする母によって阻まれた。 「ゆっくりごめんね!!」 「ゆ"っ!?」 母れいむは娘に体当たりして身代わりになることを選んだ。 赤ゆルアーの釣り針二本が母れいむの右頬に突き刺さる。 さすがは母性のれいむ種と言われるだけあって大した親子愛だ。 釣り上げられた母に気付いた子れいむは悲しげに叫ぶ。 「ゆぅ"ぅ"ーん"っ!! おがーざん!!!」 「れいむっ…れいむ…っ!! ゆっくりしてね!! ゆっくりしていってね!!!」 泣きながら母を、娘を呼び続けるゆっくり達。 なんだろう。私が悪者みたいな気分だ。 でもお金払って釣りをしてるわけだし悪くないよね。 今生の別れみたいに叫んでるけど、すぐに子れいむも釣ってまたすぐに一緒になれるさ。 「おがぁざん、ゆっぐい"じでい"っでね"ぇ"…ゆっぐりぃぃ……」 子れいむは大泣きしている今ならそれも簡単だろう。 母れいむを持参したバスケットの中に詰め込む。 するとバスケットの中から母れいむが話しかけてきた。 「に、にんげんさん! おねがいだかられいむはゆっくりしてあげてね!!」 「んあー?」 「れいむはたべてもいいかられいむはたすけてあげてね!!」 どうも勘違いしているようだった。 私は少なくとも今日釣ったゆっくりを食べるつもりも、殺すつもりすらない。 あくまで家で飼ってるゆっくりの遊び相手になってもらうのが目的なのだから。 「安心しなよ。別にお前さんを食べるつもりはないよ。 娘さんと一緒に助けてやるのさ」 「…ゆ? にんげんさん れいむたちをたすけてくれるの!?」 「ああ、でも私の家に来てもらうよ? うちのゆっくりの遊び相手になってほしいんだ」 「ゆっくりわかったよ! にんげんさんたすけてくれてありがとう!!」 「いいんだよ。本当、気にしないで」 助けると言ってもゆっくり出来るわけでも楽になれるわけでもないんだけどね。 でもまあギャーギャー騒がれるのも嫌なので信頼させておくとする。 感謝の言葉を並べて結局喧しい母れいむを無視しつつも再び釣竿を奮ってルアーを放り投げた。 標的は変わらず泣きじゃくる子れいむだ。 子れいむは泣いてばかりで赤ゆルアーの接近に気付いていなかった。 このまま隠密フィッシングもいいけどせっかくなのでリモコンをポチッとな。 『すりすりちようね!』 きっと単純なゆっくりはこの可愛らしい声に振り向くこと間違いなし。 子れいむもやっぱり振り向き、その瞬間を狙って赤ゆルアーをぶつけて釣り上げる。 「ゆ"う"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"っ!?」 子供サイズには大きすぎる釣り針が刺さって相当痛いようだ。 しかしゆっくりは刺し傷に強いから大丈夫。きっとね。 「やだよ! ゆっぐりでぎないよ"!! ゆっぐりざぜでぇ"っ!!」 この世の終わりのような声を出す子れいむは何とか逃げ出そうと足掻いているが、 ぶら下げられた状態で、それも首だけの生物が何をしたところで抜け出せはしない。 私の元に来る子れいむは恐怖で見開いた目で私を見ていた。 すぐにゆっくり出来るさ。 私は子れいむに刺さった釣り針を抜くと、母の待つバスケットの中に詰め込んだ。 「ゆぅーん"っ!! だじでー!! ゆっぐりじだいよ"ぉ"!!」 なんて泣き叫ぶ声が聞こえたが、すぐにお母さんの存在に気付いたらしい。 感動の再会で親子揃って泣きはじめた。正直うるさい。 だが邪魔するのも野暮というもの。 目的は果たしたわけだしこの二匹は放っておいて釣り道具の片づけでもするとしよう。 「よし、そろそろ行くかぁ」 片付けの終わった私はれいむ達の入ったバスケットを持って受付へ行く。 そして番号札を渡して規定の料金を払ってゆっくり釣り堀を後にした。 家までの帰り道はバスケットの中で楽しげなれいむ達の会話を聞いていた。 しかし途中で音痴な歌を歌いだしたり、狂ったように「へぶんじょうたい!!!」を連呼しだした時は流石にぶん投げようかと。 だが可愛いペットのためにそれは我慢した。 うちのペットは元気なゆっくりと遊ばせてやりたいのだ。 ゆっくり釣り堀から歩きで一時間。 バスケットの中で騒いでいたれいむ達も疲れたようで今は静かにしていた。 家へと入り、廊下を抜け、ペットのための部屋へと入る。 「うー! うー!」 部屋に入ると体無しのれみりゃが笑顔で出迎えてきた。 私の頭の周りをグルグルと飛び回る。 しばらくすると私の頭の上に乗っかった。 適度な重さと温かみが心地よい。 「ただいまれみりゃ」 「うー!」 「今からお前の遊び相手を出してやるからな。 いきなり手を出しちゃだめだぞ」 「う~!」 れみりゃが羽を寝かせて待ちの状態になったのを確認した私はバスケットの蓋を開ける。 中のれいむ達は薄目でほとんど寝た状態だったので声をかけて起こしてやった。 「着いたぞ。今日からここがお前たちのゆっくりプレイスだ」 そう言ってれいむ達をバスケットから取り出して部屋の絨毯の上に置いてあげた。 れいむ達は物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回し、そしてれみりゃと目が合った。 (さあ怯えて逃げ回るといい) れいむやまりさの天敵と言えばれみりゃだ。 赤ちゃんゆっくりですられみりゃを見れば怯える。 しかし…この親子はどうしたことだろう。 「うー! うー!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「れいむとれいむはおやこだよ! ゆっくりしようね!!」 なん…だと? 怯えるどころか親しげに挨拶をしてるではないか。 今までの遊び相手はどのゆっくりもれみりゃを見ただけで逃げようとした。 中にはトラウマでもあったのか餡子を吐き出して死ぬものすらいた。 それなのにこのれいむ達は何でこんなに無警戒にれみりゃに話しかけられるんだ? そんな私の疑問もよそに、れいむ達はれみりゃに名前を聞いていた。 「ゆっ! おなまえはなんていうの?」 「ゆっくりおしえてね!!」 「れみりゃ、うー!!」 れみりゃであることも知らなかったらしい。 普通は赤ちゃんゆっくりでも知ってるというのに… 釣り堀の説明では森から捕まえてきたとあったが、いったいどこの平和な森で捕まえてきたんだろう。 疑問は尽きないが、れみりゃというゆっくりをこれから良く知ることになるのだからどっちでもいいか。 「それじゃ、れみりゃの遊び相手になってくれ」 「ゆっくりわかったよ!!」 「ゆっ、でもおにーさんはどこにいくの? いっしょにゆっくりしたいよ!!」 「いっしょにゆっくりあそぼうよ!!」 「ま、食事の時にまた来るよ」 私は部屋を出て扉の鍵を閉めた。 いつもすぐにお友達を壊すれみりゃだが、今回のお友達は元気がいいから幾分持つだろう。 それにれみりゃも最近は加減を覚えたようだしね。 後は勝手に遊んでくれるようだから食事時まで昼寝でもしようかね。 夕食時になって目を覚ました私は、れみりゃ達の餌を持って部屋へ入った。 「うー!」 「……ゅ」 「ゆっぐ…ゆっくい"」 出迎えたのはれみりゃの元気な姿と扉の前で瀕死のれいむ親子だった。 久しぶりの生きた玩具にれみりゃも張り切っちゃったのかな。もう少し放っておいたら死んでたかもしれない。 でもこの程度なら餡子を食わせてジュースをかけておればじきに復活するはずだ。 「うー! うー!」 「おおそうか。楽しかったかれみりゃ」 「う~!!」 れみりゃはご機嫌だった。 お友達が出来たのが嬉しいようだ。 「ゆっ、ゆゆっ…」 「やめてね。ゆっくりさせてね…」 そのお友達は意識を取り戻したようで部屋の隅で怯えきっていた。 そんなれいむ達に私は歩み寄る。 ビクッと身を震わせる二匹。 「明日からもれみりゃと遊んでくれよ」 そんな二匹にそれだけ伝える。 れいむ達は返事も出来ずに震えあがっていた。 それから二か月 母れいむが死んだ。 今までのお友達は一週間と持たなかったというのに随分と長く生きたものだ。 最後の一週間は外部からの刺激にほとんど反応しなくなって子れいむがひどく心配していたが。 残った子れいむはそれまでそこそこ元気にやっていたが、母が死んでからというもの日に日に元気が無くなっていった。 肉体的には私が治しているから問題ない。 だが精神的支えのいなくなった子れいむが死ぬのも時間の問題だった。 まるでただの饅頭のような子れいむにれみりゃもつまらなさそうにしている。 そろそろ次のお友達を連れてくるとしようかな。 私は釣り道具を用意する。 ゆっくり釣り堀へ出かける前にれみりゃの部屋へ行き、 「もう食べていいぞ」 と、そう伝えた。 今度はどんなゆっくりをお友達として釣ってこようかな。 私は今、それだけを考えていた。 終 by 赤福(ゆっくりしたい人) このSSに感想を付ける
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「ゆ~っくりしてね~♪」 赤ん坊が宿る蔦をはやしたれいむが揺り籠の様に体を優しく揺すりながら子守歌を歌っている 重さでしなった枝の先の眠る子どもに頬ずりをすると、時折笑みのような表情を浮かべか細く「ゅ」と言う声が漏らす 6匹分の赤ん坊の重さで思うように動けないが、その重さがこれからの幸せの重さと思うと心地よい 「げんきなこにそだってね...」 愛しいゆっくりとの決して楽ではない生活の中でようやく得られた幸せの証。 生まれながらにして家族が居ない自分に初めてできる血肉を分けた唯一の家族 そろそろ餌を取りに行った伴侶が帰ってくる頃なので夕餉の準備を食糧庫へ向かった時であった ズズズズズズ! 突如地面が低く唸りながら激しく揺れる。 「ゆゆゆゆゆゆ!」 バランスを崩し危うく壁に激突し掛かるが、手近な家具に齧りついて最悪の事態は防ぐは事は出来た できれば危険物のない安全な寝床に移動したいが踏んばるだけでも精いっぱいだった 「れいひゅは…れいひゅは、あかひゃんをぜぇったいみゃもってみせるよ!」 揺れは一向に収まる気配を見せず住まいの老木が悲鳴の様な音を上げて軋む 我が子が物にぶつからないように身体を出来る限り伸ばして下半身と口に全神経と力をこめる 「んびゅー!」 必死に家具にかじり付く口からは液状の餡子が血のように漏れる 揺れに耐えきれず崩れた家具が容赦なくれいむの身体を打ち付けるが痛みを上回る母性がれいむに普段ではあり得ない程の力と 勇気を与え不動の姿勢を保たせる 一際大きい揺れが収まると徐々に弱くなる ほっと一安心するとれいむはすぐ蔦を見る。 実っている子供達には怪我ひとつない…れいむはアチコチを打って擦り傷でだらけだが子供を守れたなら安い物だ ギリリリリリッ バキッ! ほっと一安心したれいむの頭上から不気味な音が聞こえたと思うと轟音を立てて、巨大な木片がささくれた切っ先を向けながら落下する しかし地震に耐えて満身創痍の上に身重のれいむには動くとすらできない。 地面に伏せてギュッと目を瞑る ああ…せっかく我が子を守れたのに死ぬんだ… ドシャ! 「……ゆ?」 うっすら目を開けると自分の目と鼻の先に巨大な木片が突き刺さっている 偶然にも木片が落ちる際に何かに当たって落下地点がそれたのだ 大きく息を付くと入れて身体を起こす だがその時違和感に気づいた いつもなら顔をすら上げるのが一苦労な動作が『息を吸って吐くように様に』出来る 頭上を見上げると蔦が中ほどから千切れて無くなっていた 千切れた蔓の片割れは地面の突き刺さった根元の部分を木片に挟まれいた 子供には直撃しなったものの蔦が切断された衝撃で子供が十分な余裕を持たず強制的にヘタから切り離されてしまった その為産声も上げる事なく殆どが死んでしまった 「あ゛か゛ち゛ゃ゛ん゛!て゛い゛む゛のあ゛か゛ち゛ゃん!!」 血相を変えて子供達のの元に駆け寄るれいむは必死に我が子に呼びかける 揺すったり舐めたりして覚醒を促すがその眼は固く閉じられたままだった 必死に何度も同じ行動を繰り返すと一匹から弱弱しい吐息が帰って来た 「ゅぅ…ゅぅ…」 「あ…ああ!あ゛ち゛ひ゛ち゛ゃ゛ん゛い゛き゛て゛た゛ん゛た゛ね゛!!」 今にも消えそうな命を死神の手に渡すまいと何度も呼びかける 「ゅぅ?」 目をパッチリ開けて目の前で涙を流しながら誕生を祝福する母親の顔を不思議そうな顔をして眺める 「おかーしゃん…?」 「そうだよ!おちびちゃんのおかーさんだよ!」 生まれて初めての母との会話を出来る喜びに赤ん坊はゆっくりと笑顔を返すと口をもごもご動かす 「ゆっきゅり…ちて…ね」 生まれて初めての挨拶をすると笑顔のまま眠る様に逝った 「ゆ゛っく゛り゛し゛て゛る゛よ゛!た゛か゛ら゛お゛き゛て゛い゛っ゛し゛よ゛に゛ゆ゛っく゛り゛し゛よ゛う゛よ゛!!」 その日れいむは吼える様に泣き続けた。 子供を奪った何かを恨むように、そして守れなかった自分を責める様に ....... ..... 「いっぱいごはんとれたね!」 「はやくかえって赤ちゃんとすりすりしようね!」 れいむとまりさのつがいが食糧で頬をリスのようにいっぱいに膨らませながら家路についている 家では生まれたばかりの可愛い赤ちゃん達がお腹すかせてゆーゆー言いながら待っているだろう 帰った後赤ちゃんと過ごす時の事を考えるとつい頬が緩んでしまう ゆっくりにあらざる弾丸のような速度で我が家に飛び込む 「「ゆっくりただいま!」」 だがれいむとまりさの視界には彼女たちの期待した光景はなく ひっくり返されたテーブルに、赤ちゃんの為にまりさが小枝で一生懸命こしらえた小さな椅子がバラバラになって散乱していた そして帰りを待ちわびている筈の愛しの我が子の姿はそこには無かった ほぼ同刻…某所にて 岩に囲まれ冷たくひんやりとした空気が辺りを包み、天井の隙間から漏れている光が辛うじてうす暗い空間をぼんやりと照らす そこに4匹の赤れいむが暖かな光に包まれて寄り添うように眠っている 一匹が目を覚ますと他の姉妹も目を覚ます 「ゆ?ゆゆ?」 「まっきゅらだよ!」 「おかーしゃんは?」 状況がわからずお互いの覚えてる限りの事を話し合う お家で皆とゆっくりしていた所、突然目の前が真っ暗になって気付いたらここに居た ズズズズズ.... 何処かからか岩が動く音がした方と思うと、壁の一部から光が差し込み外への出入り口が姿を現した するとそこから大きなシルエットが現れ、こちら近づいてきた 「おちびちゃんゆっくりしていた?」 赤れいむ達の前に普通のゆっくりよりはは大きいサイズのゆっくりれいむ(以後大れいむ)がニコニコしながら見下ろしていた 「ゆゆ?おばしゃんだれ?」 「きょきょはどこ?」 赤れいむ達は口々に目の前に居るれいむに聞く 「ここはおちびちゃんたちのおうちだよ!れいむおかあさんがいるからゆっくりしていってね!」 おうち?おかあさん?赤れいむには目の前の霊夢が言ってる事が理解できなかった 「ここはれいむのおうちじゃないよ!」 「おうちゅかえりゅ!」 だが赤れいむ達の言葉などどこ吹く風と言うよう大れいむ笑顔を崩さず聞いていた 「おちびちゃんたちは、まだ新しいお家になれてないんだね!しばらくゆっくりすればなれるよ!」 そう言うと大れいむは赤れいむ達をリボン咥える 「はなちてー!」 大れいむがしばらく巣穴の奥へ行くと天井の上にぽっかりと穴が空いた下に地面が窪んでちょうどボウル状になっている 穴の底には枯草が敷いてあり、まるで巨大な生き物の寝どこの様になっている そこへ大れいむは咥えていた赤れいむ達を穴に投げ入れた 「ゆー!おちょらとんでるみたいー♪」 幸いにも枯草がクッションとなり怪我もなく着地できた 「さぁここがおちびちゃんたちのおへやだよ!ゆっくりやすんでね」 そう言うと大れいむは元の道を引き返して行ってしまった 赤れいむ達が呆然と大れいむの居た方を眺めていると近くの枯草がガサガサと音立てた 「あにゃたちもちゅれてこられたのね」 枯草の中からから声がすると中から一匹赤パチュリーが姿をあらわした 「おねーちゃんだりぇ?」 「わたちはパチュリーよ!あなたたちしんいりね!みんなでてきなしゃい」 子パチュリーの呼びかけに更に多くの子ゆっくり達が顔を出す。 れいむにまりさ、みょんやちぇん、みすちーやすわこの子供までもがいた 「ゆゆゆ!おともだちがいっぱい!」 「みんなでゆっくりできりゅよ!」 初めて見るゆっくり達を見て興奮する赤れいむ達だが他のゆっくり達の表情は暗い、パチュリー至っては呆れた顔をしている 「あにゃたたちにょんきね!いまのじょうきょうをわかってるの!」 「れいみゅはにょんきじゃないよ!ゆっきゅりできるこだよ!」 「おかーしゃんがとってもゆっきゅりできるっていってたもん!」 「もぅ…らちがあかにゃいわ!いいこと、あにゃたちはとってもてゃいへんなめにあってりゅんだから!」 「ゆゆゆ?」 子パチュリーの言うにはここに居るゆっくり達はあの大れいむに親元からか連れされらて来たのだ しかも、大れいむは子れいむ達を自分の子と言い張りこの狭い穴から一歩も出さないで閉じ込めているのだ 「おかーしゃん…」 「おとーちゃん…」 「ゆえええぇぇ....」 ようやく状況が飲み込めた赤れいむ達は親元から離されたことに気づき涙ぐむ それにつられて他の子ゆっくり達も嗚咽を漏らす 「もうなきゅのやめなさい!ないたってどうにもにゃらないわよ!」 「でやってぇ…でやってぇ…ママー!」 「こわいよ…らんしゃまーー!」 「もうあたちだって…あたちだっておうちきゃえりたいよぉー!」 強がっていたパチュリーも釣られて泣き始める 赤ゆっくり達がな泣き叫びだすと洞窟内に響くほどの騒音の大合唱が始まった しばらく泣き続けると疲れてそのまま藁の中で自分の親や家の事を思って眠りの中に落ちていった 「おかーしゃん...」 すまぬ詰まってしもうた このSSに感想を付ける
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imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (画像ファイル名または画像URL) ある夕暮れの森の中を、鳥とも蝙蝠とも言いがたい生き物が、人の大人の目線程の高さを飛んでいた。 「うー!うー!」 その奇妙な生物は、ゆっくりの一種で、主に“ゆっくりれみりゃ”と呼ばれている。 まん丸の体の両端には、蝙蝠のような羽があり、ピンクの帽子を被った愛くるしい姿で、ゆっくり種の中では比較的 希少な部類に入る。 そんな可愛らしいゆっくりれみりゃだが、食事は同じゆっくり種の“ゆっくりれいむ”や“ゆっくりまりさ”を好ん で捕食する。 どうやら、そのゆっくりれみりゃが、今日の晩御飯を見つけたようだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 森の中の湖のほとりで、ぴょんぴょん跳びはねているのは、ゆっくりれいむだ。 どうやら、蝶々と戯れているらしい。 (蛇足だが、最近の研究によりゆっくりにも…例えばゆっくりれいむなら可愛らしい無垢な顔つきのタイプと、生意気 で憎たらしいタイプの二種類が存在することが分かってきている。このゆっくりれいむは無垢なタイプのようだ。) 「うー!うー!たべちゃうぞー!!」 早速、ゆっくりれいむに襲い掛かるゆっくりれみりゃ。 「ゆっくり!?」 ゆっくりれいむが気づいたが、もう遅い。ゆっくりれみりゃはゆっくりれいむに乗り掛かりその羽で押さえつけると。 噛み付いてムシャムシャと食べ始めた。 「ゆうううっ!!!」 悲鳴をあげ抵抗するゆっくりれいむ…だが、いかんせん羽の押さえ込みが強く、ゆっくりれいむではどうすることも できない。頭部に激痛が走り、涙を流して命乞いをするゆっくりれいむ。 「ゆっぐりだずげでえええっ!!!」 しかし、そんなことはお構い無しに食事を続けるゆっくりれみりゃ。そして、人間であれば、脳味噌があるだろう部 分を半分ほど食われた段階でゆっくりれいむは白目を向いてビクンビクンと痙攣を始めた。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 こうなれば絶命するのはすぐそこだ。 そうして、ゆっくりれみりゃは、大人しくなったゆっくりれれいむをそのまま食べ尽くすと。 「うー!うー!」と満足げに鳴き、 また飛び立っていった。 それから二時間後、まだゆっくりれみりゃは空のお散歩を続けていた。あたりはすっかり夜だったが、満月の光が森 の中を照らしていた。 「うー!うー!」 先ほどの餌がよほど美味しかったのか、ゆっくりれみりゃは上機嫌に空を飛んでいた。 そう、“天敵”の気配に気付かないほどに…。 突如、ゆっくりれみりゃが空中でピタリと止まる。顔が、ニコニコしたものから、カッと目の見開いた表情に一変す る。 それは、“天敵”の接近を許してしまったからだ。 その天敵とは、ゆっくりの中でも一、二を争う希少性と凶暴性を持つ、ゆっくりフランだ。 「ゆっくりしね!」 ゆっくりフランは狂気を帯びた笑みを浮かべながら、ゆっくりらしからぬ攻撃的な鳴き声をあげてゆっくりれみりゃ に襲いかかる。 「うあー!うあー!」 Uターンし、泣きながら逃げるゆっくりれみりゃ。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 恐ろしい形相でゆっくりれみりゃを追いかけるゆっくりフラン。 スピードはほぼ互角か。しかし…。 「ゆっくりしね!」 ゆっくりれみりゃの目の前に何ともう一匹のゆっくりフランが立ちはだかる。 絶句するゆっくりれみりゃ。 それにしても、超希少とされるゆっくりフランが何故二匹も…? 実は、原理は解明されていないが、ゆっくりフランは自身の体を複数に「分身」することができることが、八意永琳 の研究により分かっている。これは“フォーオブカインド現象”と呼ばれ、ゆっくり七不思議の一つとなっている。 「うあー!うあー!」 挟み撃ちにされ、逃げ場を無くして混乱するゆっくりれみりゃ。 そんなゆっくりれみりゃに、二匹のゆっくりフランは容赦なく飛び掛る。 「ゆっくりしね!」 「ゆっくりしね!」 ゆっくりフラン達はゆっくりれみりゃの翼にかじりつくと、凄まじい力で思いっきり引っ張りあった。 まずは逃げ足を無くすためである。 「うあー!うあー!」 ブチブチと、ゆっくりれみりゃの体から翼が引き剥がされていく。 ゆっくりれみりゃは痛みで暴れ出すが、ゆっくりフランの力は凄まじく、打つ手が無い。そして、 ブチィっ!!! ほぼ同時に両の翼がモギ取られる。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 ボトッと地面に落下するゆっくりれみりゃ。翼を無くしたゆっくりれみりゃは他のゆっくりように跳び跳ねることも できず、這うのがやっとだ。その姿は滑稽きわまりない。捕獲に成功したゆっくりフランは、体を一つに戻すと、ゆっ くりれみりゃに張り付き、先ほどゆっくりれみりゃ自身がゆっくりれいむにしたように、上から押さえつけて、食事を 始めた。 グチョ 「うあ゛ー!!!」 グチョ 「うあ゛ー!!!」 ゆっくりれみりゃはゆっくりれいむやゆっくりまりさ等と違って中身は餡子ではなく赤い血肉そのものであるため、 正視にたえない。 しかし…二回程カジってゆっくりれみりゃの肉片を飲みこんだ後、ゆっくりフランは食べることを止めゆっくりれみ りゃを解放した。 「う゛ー!う゛ー!」 激痛でのたうちまわるゆっくりれみりゃ。 何故、ゆっくりフランはゆっくりれみりゃを食べるのを止めたのか…。 実は、ここからがゆっくりフランがゆっくり達に最も恐れられる理由なのだ。 ゆっくりレティやゆっくりゆゆこは、ただ食べるためだけに、他のゆっくりを襲う。 それは野生の動物の世界では極々当たり前のことだ。 しかし、ゆっくりフランは違う。食べるためだけではない。他のゆっくりを「玩具」にするためにも襲うのである。 狂気の時間の始まりだ。 ゆっくりフランは、翼をもがれ文字通り「肉団子」となったゆっくりれみりゃの髪の毛を噛んで掴むと、そのまま高 速で森の上空へと飛び立つ。 「う゛ー!う゛ー!」 今や翼を失ったゆっくりれみりゃにとって、高いところは恐怖そのものでしかない。 「ゆっくりしね!」 ゆっくりフランはそう言うと、急降下して、ゆっくりれみりゃを、岩の角に叩きつけた。 「う゛う゛ー!!」 ゆっくりれみりゃの左目の部分が潰れ、血肉が飛び散る。 更に、その傷の部分を地面に押し当て、引きずりまわす。 「う゛う゛う゛う゛う゛う゛ー!!」 悲鳴をあげるゆっくりれみりゃ。 生かさず、殺さず。…二時間程ゆっくりフランはゆっくりれみりゃを弄んだだろうか。 ゆっくりフランは最後の仕上げとばかりに、虫の息のそのゆっくりれみりゃを“ある場所”へと運びだす。 …森の更に奥の奥に、その場所はあった。 その空間の地面には、先端の尖った鉄の槍のようなものが、いくつも突き刺さっていた。 おそらく、昔の戦争で使われたトラップだろう。 「ゆっくりしね!」 ゆっくりフランは、そのまま、ゆっくりれみりゃを、生きたまま槍の上に突き刺した。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 それはちょうど百舌の早贄のようだった。 自身の重みで、ズズズ…とより深くゆっくり貫かれていくゆっくりれみりゃ。 ジタバタするが、もはやこの状況から逃れることはできない。 「う゛ー!う゛ー!」 中途半端な生命力が仇となり、このゆっくりれみりゃは餓死するまで死ぬこともできず、もがき苦しむことになるだ ろう。 「ゆっくりしね!」 ゆっくりフランは、新しい“コレクション”が手に入り上機嫌だ。 コレクション…?。 そう、そのゆっくりフランがプロデュースする“美術館”に、串刺しにされているのは、このゆっくりれみりゃだけでは ない。ゆっくりれいむ、ゆっくりまりさ 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 、ゆっくりぱちぇりー、ゆっくりちぇん、ゆっくりみょん、ゆっくりすわこ、 そして他のゆっくりれみりゃ…。 様々な種類のゆっくりが、あるものは体の底から、あるものは体の耳から、あるものは頭頂部から逆さまに、あるも のは顔面から、皆それぞれ串刺しにされていた。 もちろん生きたまま。 「ゆっぐりだずげでえええ」 「ゆっぐりでぎないい」 「いたいimageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (画像ファイル名または画像URL) 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 半角 で始めると引用文になります。 よおおお…」 「ゆっぐりじだいいいいい」 「むぎゅうううぅぅん」 「ちんぽでぎないいいい」 「だずげでケロ~」 「う゛…!う゛…!」 合計すると、30匹はいるだろうか。 体をジタバタさせているゆっくりもいれば、ピクリともできないゆっくりもいる。 傷口が腐り、虫にたかられているゆっくりもいる。 正に、地獄絵図…。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 ゆっくりフランは、その生きたコレクション一つ一つに声を掛け、苦しむ様を興奮した眼差しで確----
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代表ゆっくり(前) 帰ってくると、今にゆっくりの一家がいた。 思わず「あっ」と声を出してしまい、奴らはそれに気付いた。 「ゆ!ここはまりさたちのおうちだよ!ゆっくりしていってね!!」 「おなかがすいたよ!!まりさたちにおかしをもってきてね!!」 「おにいさんはゆっくちできりゅひと?ゆっくちちていってね!!」 「ゆっくりできないひとはでていってね!!」 ゆっくりどもは一斉に俺に向き直ると、口々に好き放題抜かした。 大きめのまりさ種が一匹、これは母親らしいがまだ若そうだ。 更に子供らしいのがれいむ二匹、まりさ三匹の五匹。子供たちの中には赤ちゃんサイズのものも混じっている。 どこから入ってきたのかと思って見回すと、窓が開いていた。暑さから窓を開けて過ごしていたので、出る時閉め忘れたようだ。 台所に備蓄してあった食糧は食い荒らされ、大事に飾っていた花瓶は割られて中の花も食べられている。 押入れのふすまも体当たりで破られていた。あ、押入れの中にもう一匹子れいむ発見。ハマって出られなくなっていたんだな。 「ゆ!くらくてこわかったよ!れいむをこんなこわいめにあわせるおにいさんとはゆっくりできないよ!!はやくあやまってね!!」 とか、頬を膨らましながらありえないことをのたまっている。 以前ゆっくり虐待仲間である友人に聞いたのだが、 奴らの“自分の家宣言”は、そこが自分の家だと完璧に思い込んでいるわけでは必ずしもなく、 ゆっくりによっては頭のどこかで「本当はニンゲンのおうちである」と認識しているらしい。 その論拠には、自宅で“自分の家宣言”をしたゆっくりに「ここは誰の家?」と暴行を加えつつ詰問したところ、 「お゛にぃざんのお゛うちでずぅぅぅぅ」と答えた、ということだ。そのあと死んだってさ。 この子れいむは勝手に侵入した人家で勝手に怖い目に陥っておきながら、 それを自分のせいとは決して考えず、「この家が自分を怖い目に遭わせた」というあらぬ方向に考えを曲げ、 あろうことか、この家に現れた本来の持ち主だと思われる俺に責任転嫁してきたのだ。 よって先ほどの友人の論は、少なくともこのれいむ相手に限っては立証されたことになるだろう。殺したい。 しかし、そんなムカつきエピソードはとりあえずどうでもいい。 俺は無断で家に入ってきたゆっくりは全て苦しめながら殺す信条だ。 結果としてこいつらに待っているのは拷問死、それはどう足掻いても変わらない決定事項。 部屋を荒らしたり俺をイラつかせるのは、死際のささやかな抵抗として見守ってあげようじゃないか。 その点、この子れいむは良い線いってると思うよ。苦しむ時間が若干延びたかも知れないけど。 「一応言っておくけど、ここは俺の家であってお前らの家ではないよ!」 「ゆ?おにいさんなにいってるの?ここはまりさたちがさきにみつけたんだよ!!」 「まりさたちのいってることわからないの?ばかなの?」 「ゆっくりできないおじさんはゆっくりしね!」 別に言っても無駄なのは解ってたからどうとも思わない。むしろ素直に聞かれたら俺がびっくりして死ぬ。 とはいえこれで遠慮は要らなくなったので、とりあえず親まりさを蹴り飛ばして俺強いアピールしておく。 強めに蹴ったので、壁に顔面から叩きつけられた親まりさから多量の餡子が飛び散る。染みになっちゃうな。 子ゆっくり達は「ゆ゛ゆ゛っ!?」とか喚いて非難の限りを俺に浴びせてきたが、 親をぶっ飛ばしたことで人間の強さは印象付けられたらしく、同じ目に遭いたいかと問いかけると静かになった。 次に俺は、家に侵入してきた悪いゆっくりは全員殺すこと、子供達をどう潰していくかを宣言しておいた。 死刑宣告にも似た俺の言葉に、静かにしていた子ゆっくり達は泣き出してしまう。 何も知らせないまま虐待した方が新鮮なリアクションが得られるのでは?というご意見もあるだろうが、 俺は泣かせられる時は泣かせておく主義なのだ。それにどうせこんなの、ちょっとしたことでコロッと忘れるし。 閉ざされた居間の中を逃げ惑い始めた子ゆっくりたち。それをゆっくり追い回していると、 今まで俺が経験したこともなく、また思ってもみなかったことが起こった。 怪我をして顔面餡子まみれになった親まりさが俺のところまで這って来てこんなことを言ったのだ。 「ごべんばざい。ごごはおにいざんのおうぢでず。ばりざがみんなをざぞいまじだ。 だがらごろずならばりざだけにじでね。あがちゃんだぢはだずげてね」 おいおい、ピンチとなれば家族をも売ると悪名高いまりさが何を言い出してるんだ? 頭でも打ったのか? 打ったか。 「お前が家族を代表して罰を受けるってことか?」 「ぞうだよ。ばりざがだいひょうだよ」 「何でそんなこと考えた? 家族を売っても助かろうとするお前らまりさが……」 「がぞぐをうっだりじないよ。おにいざんはづよいよ。ざがらっでもむだだよ」 子ゆっくりをビビらせるためにやった俺TUEEアピールが、思わぬ効果を発揮したようだ。 このまりさは強いものに大人しく従うタイプのようだ。森の生活でも辛酸を舐めさせられてきたんだろう。 俺の怒りを鎮めるのが不可能だと悟るや、せめてその怒りを自分だけで全て引き受けようと思ったらしい。 うーむ、餡子頭の饅頭でも母親ということだろうか。惜しむらくは、家に入る前に人間の強さに気付けよ。 しかしその条件を飲むとなると、俺のどんな拷問や虐待もこいつらの美しい親子愛を演出するだけだ。 そんなのは気に食わないし絶対にごめんだ。とはいえ、虐待時のコミュニケーションを重視する俺としては、 まりさからの珍しい提案を全くの無碍にするのも惜しい。どうしたものか…… 「うーん……そうだな、気に入ったぞ! まりさ種にしては珍しい心掛けだ。殺すのは無しにしてあげよう」 「ゆゆっ!?」 「ただし、別のおしおきはするぞ。悪いことしたって解ってるなら、しょうがないって解るよね?」 「ゆ゛っ・・・わがっだよ。でもあがぢゃんだちはたずげでね」 「解ってるよ、お前が家族の代表だからな。お前こそ、その言葉忘れるなよ」 「ゆっ!?れいむたちころされなくてすむの?」 「おかあさんがおにいさんにゆるしてもらったんだよ!!」 「おがあざああぁぁぁぁん!!だずげでぐれでありがどおおぉぉぉぉ!!」 話を聞いていたらしい子ゆっくりたちもいつの間にか集まってきて、歓喜の涙を流している。 これでじぶんたちはたすかるんだ。忘れていた生の喜びを噛み締めている。 こいつらの餡子頭では、どうせまたすぐ忘れるだろうけどね。 でも一つ忘れちゃいけないのは、俺は家に入ってきたゆっくりはみんな殺す信条ってことだ。 たださっきのまりさの勇姿を見て、ちょっと別のことを思いついただけさ。 ーーー 俺は別室に行き、透明な仕切り板を使って、部屋を真ん中から二つに分けた。 一方にはゆっくり飼育道具が一揃い。すべり台やブランコなど、ゆっくり用の大きな玩具もある。 もう一方には今は何も置いておらず、仕切り板は人間にはまたげるがゆっくりに飛び越えるのは不可能な高さだ。 俺は手早く準備を済ませると、居間にいるゆっくり一家のところに戻る。 奴らは傷の癒えてきた親まりさを中心に、早くもゆっくりし始めていた。 手を叩いて注目を集めると、全員に聞こえるように話し出す。 「みんな聞いてね! お母さんまりさの立派で優しい姿に胸打たれた俺は、みんなを叩き潰すのをやめることにしました」 「ゆ!さすがおかあさんだね!!」 「おにいさんもこんなすてきなゆっくりにであえてよかったね!!かんしゃしてね!!」 「はいはい。でも悪いことをしたみんなにはお仕置きが必要だよね!」 「ゆ・・・おしおきいらないよ!れいむたちわるいことしてないよ!!」 「まりさはまりさたちのおうちでゆっくりしてただけだよ!!」 「ド饅頭は黙ってね! それでどんなお仕置きにしようかなって考えたんだけど、恐ろしいお仕置きを思いついちゃったんだ」 「ゆ゛ゆ゛!?もういやだよぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!」 「おしおきだめぇぇぇえぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないのぉぉぉぉおぉぉ!!」 「まりざもうおうぢがえるぅぅぅぅぅ!!」 「ここがおうちじゃなかったのかよ。まあいいや、とにかく新しく考えたお仕置きを改めて発表します! それは……『ゆっくりさせること』!」 「「「ゆ?」」」 さっきから鬱陶しく表情を二転三転させていた子ゆっくりたちは、俺の言葉に戸惑い、一瞬固まった。 ゆっくりすることが至上の目的であるゆっくりに対し、ゆっくりさせることがお仕置きだとは。確かに意味不明だろう。 「みんな全然大したことないって思ってるだろ? でもそんなことないよ。これは恐ろしいことなんだ。 怖い人間のところで悪さをして、せっかく生き延びて反省する機会を与えられたのに、 君たちはその機会すら生かせず、逆にゆっくりさせられてしまうんだ。 そうするとまた調子に乗って人間のところで悪さをして、今度は殺されちゃうかもしれないよね! ある意味ただ殺すよりも恐ろしい、残酷な制裁行為だね!」 「ゆゆ!ここでずっとゆっくりするからだいじょうぶだよ!!」 「おにいさん、れいむたちをゆっくりさせてね!!おかしいっぱいちょうだいね!!」 「おにいさんもまりさたちのおうちでゆっくりしていっていいよ!!」 「ゆっくちちていってね!」 「ゆっくり~!!」 俺のありがたいお言葉には耳も貸さず、ゆっくりどもはニコニコしながら嬉しそうに跳ねている。 こいつらの脳内ではもう思い思いのゆっくりライフが始まっているらしい。 親まりさは俺の言っていることの意義を一応理解したらしかったが、自分もゆっくりしたいという誘惑には勝てないらしく、 子ゆっくり達と一緒にニコニコして喜んでいる。まったく。まあこんなのは詭弁だから良いんだけどね。 大体「ゆっくり」って何なんだよ、抽象的過ぎるんだよ糞が。それで何か意図が通じるとでも思ってるのかね? そんな良く解らないものを人様に強いるゆっくりどもには、一度同じ苦痛を味わってもらいたい。 「じゃあみんな、お仕置き部屋に移動しようね。覚悟しててね」 俺はゆっくりたちを全員抱きかかえ、先ほど板で仕切った別室へと移動を開始した。 「わーい!おそらをとんでるみたい!!」 「ゆゆ!たのしそうなものがいっぱいみえるよ!!」 「とってもゆっくりできそうだね!れいむきにいったよ!」 「はやくゆっくちちたいよ~~!!」 「おにいさん!はやくあのおもちゃのあるところにおろしてね!まりさのゆっくりスポットにするよ!!」 覚悟しろとやや凄んで言ったにも関わらず、ゆっくり達は能天気なものだった。 部屋に置いてあるおもちゃなどを見て、期待に目を輝かせている。 親まりさもそんな子供達を見て満足そうに微笑んでいた。苦痛に歪ませてやりたかったが、今は我慢した。 さて、子ゆっくりたちを床に降ろしてやる。ゆっくりを抱きかかえたまま身体を低くかがめると、 子供達はゆっくり~!とか奇声を発しながら各々畳の床へとべちょべちょ着地していく。 親まりさも子供達と一緒に飛び出そうとしたが、そこをぐっと押さえつける。「ゆ?」とか言いながら こっちを見上げて来る親まりさだが、俺は視線に構わず、親まりさだけ仕切りのもう一方側へと降ろした。 「おにいさんありがとう!!れいむたちのためにおもちゃをよういしてくれたんだね!!」 「いっぱいゆっくりしてあげるからほめてね!!」 「ゆゆゆ~♪」 すべり台やブランコ、シーソーにアスレチック、ゆっくり用柔らかクッション、涼しげな水場などなど。 さしずめゆっくり用遊園地とでも形容すべきパラダイスに、我先にと飛び込んだのは、好奇心旺盛な赤ちゃんれいむであった。 しかしその楽園への跳躍の途中で、赤れいむは無様に「ぶべっ!」と叫んで床に落ちてしまう。 夢中だった赤れいむはその存在に気付かなかったが、透明な仕切り板にぶつかったのだ。 「ゆゆ?かべがあってとおれないよ!!」 「おにいさん!これじゃれいむたちゆっくりあそべないよ!!」 「はやくかべをどかすか、まりさたちをむこうにはこんでね!!」 「これじゃゆっくちできにゃい~~!!」 ぷくーっと膨らんで怒ってみせる子ゆっくり、泣き出してしまう赤れいむ。 しかし俺はにっこりと優しく微笑んで返す。 「大丈夫だよ、安心してね!」 「あんしんできないよ!ゆっくりはやくしてね!!」 「まあまあ。実は君たちには、お仕置きしなくても良いことになってるんだ」 「ゆ?なにいってるのかわからないよ!ゆっくりせつめいしてね!」 「さっき聞いてた子もいるだろ? 君たちのお母さんが、『まりさがだいひょうになるからこどもたちをたすけてね』って言ったんだ」 「ゆゆ!まりさたちのおかあさんはりっぱだよ!!」 「りっぱなこどものれいむたちもはやくゆっくりさせてね!!」 「だからぁ、君たちはそんなことしなくていいんだって」 「ゆ?」 「君たちのお母さんが代表になって、君たちの分まで『ゆっくり』してくるからね!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ーーー!!?」 驚愕の表情を隠せない子ゆっくりたち。やがて一匹の子れいむが発見してしまう。 透明な板の仕切りの向こうに一匹だけたたずむ、親まりさの姿を。 「ゆゆゆ!?なんでおかあさんだけそっちにいるの!?」 「ずるいよぉぉぉおぉぉぉ!!れいむだぢもゆっぐりそっぢにづれでってねぇぇぇぇ!!」 「はやくこのかべをゆっくりなんとかしてね!!」 親まりさはおろおろと戸惑った様子で、子供達の方を見ている。 「おにいさん!これはどういうこと!?こどもたちもこっちにつれてきてあげてね!!」 「おいおい、そりゃ無いだろ。お前さっき自分で言ったこと忘れたの? 代表じゃなかったの?」 親まりさの苦情に、俺は親まりさにだけ聞こえるような小声で応えた。 「ゆ゛っ・・・でもこどもたちがゆっくりできないとかわいそうだよね!!ゆっくりはやくしてね!!」 「あのね、さっきの俺の話理解したよね? ここで『ゆっくり』しちゃうのは、子供達のためにならないんだよ。 正しい躾を受けられない子供ほど不幸なものは無いって、お前も親だったら解るよな?」 「ゆぅ~・・・?」 「だからお前が子供達の分まで『ゆっくり』するのは、立派な親の勤め! あいつらを助けることに繋がるんだよ。 むしろこんなところで『ゆっくり』させることは、お前らにとって大きな苦しみになるんだ! ゆっくり理解したか? お前は子供達のために、良いことをしているんだよ!」 「ゆゆっ?まりさ、ゆっくりしたほうがいいの?」 『子供達のため』『良いことをしてる』というフレーズに心が揺れたらしい。 そもそも『ゆっくりさせる刑』なんて意味不明なことを言い出した俺のマッチポンプなんだが、そんな難しい事は餡子には解らない。 ここまで来れば、思いついた通りの展開に持ち込むまでもう一押しだ。 「そうだよ! その板越しにお前らを分けたのは、見せしめのためなんだ。 恐ろしい『ゆっくり刑』を受ける母親を、子供達に見せて反省させるためのね」 『ゆっくりすると反省できず、結果的に恐ろしい』という論理から、 『ゆっくりすること自体が子供にとって恐ろしい』にすり替える。 冷静に考えればおかしな話だが、俺の畳み掛けに親まりさの餡子脳では対応できない。 「ゆ~・・・じゃあまりさ、みんなのためにしょうがなくゆっくりするよ!」 「偉いぞ! お前はまさしく親の鑑、子供達の誇りだな。だからちゃんと、家族の代表として宣言してやれ」 「ゆゆっ!わかったよ!!」 そして親まりさは、仕切り板の向こうでゆーゆーぴーぴー喚く子ゆっくりどもに笑顔で向き直った。 「おーい、お前らの偉大なお母さんから発表があるぞ!」 「みんな!!おかあさんがみんなのぶんまでちゃんとゆっくりしていくからね!! しんぱいしないでね!!ゆっくりしないでね!!」 「「「「ゆ゛ゆ゛!?な゛んでなのぉぉぉぉおおぉぉぉ!!」」」」 親まりさに裏切られ、自分達のゆっくりプレイスを独り占めされたと思った子ゆっくり達は、一斉に悲鳴を上げた。 うーん、親の心子知らずとはこのことか。 「おにいさんありがとう!!まりさ、あのこたちをくるしめるところだったよ!!」 「うんうん、お前も親として一皮剥けたな」 こいつはこいつで、俺の暗示にかかりまくってるしな。お礼まで言ってるよ。 ゆっくりがゆっくり出来ないことのどの辺が良いことなんだろうね。人間の子供の躾じゃないんだから。 親まりさだって、『自分がゆっくりするのが子供達のため』なんて本気で思ってるかどうか怪しいもんだ。 俺のこねた屁理屈の尻馬に乗って、自分がゆっくりする大義名分を得ようとしているんじゃあないのか? 自分がゆっくりするためには、他の全てを正当化する。そういう奴らだから今ここにいるんだ。 まあ仮に反省したとしても、全くもって無駄なことだけどね。それを生かす機会は永遠に来ないのだから。 こうして嘘と欺瞞で二重三重にコーティングされた、俺と親まりさによる躾が始まった。 子ゆっくりどもは真摯に反省する必要もなければ、欺瞞を暴き立てる必要もない。 ただ突きつけられた理不尽な現実に、ゆっくり出来ずに泣いててくれればいいのさ。 ーーー さて、それからゆっくりタイムが始まった。 まずは「おなかがすいたよ!!ゆっくりごはんもってきてね!!」と言う親まりさの要望に応え、 とりあえず棚にしまっておいたお菓子を出してやる。つーか、よくもいきなりここまで図々しくなれるもんだ。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」と癇に障る声を出しながら美味そうに食っている。 それを透明な板の向こうでうらやましそうに眺める子ゆっくりたち。 「おにーさん、れいむたちにもおかしちょうだいね!!」 「ゆゆ!おかーさんばっかりずるいよ!!」 「そう言うなよ。お母さんはお前らの為を思ってゆっくりしてるんだぞ。 良いお母さんだな! お前らはそんなお母さんの思いに応えないとね!」 「そんなことよりゆっくりおかしだしてね!!おもちゃももってきてね!!」 「こんなんじゃゆっくりできないよ!!」 こりゃ押し問答だな。しかし親に対して「そんなこと」は無いだろうに。 大体ゆっくり出来ないってどういう事だ? 針のむしろにいるわけじゃなし、畳の上で充分ゆっくりできるだろ。 極めて限られた条件下でしか『ゆっくり』とやらを出来ないこいつらを、果たしてゆっくりと呼んでいいものか。 「お前ら全然ゆっくり出来てないね! ちゃんとお母さんの想いを受け止めてるんだね。 お母さんがああしておしおきを受けている甲斐があるってもんだね」 「ゆゆ!?あれのどこがおしおきなの!!とってもゆっくりしてるよ!! あとまりさはゆっくりできないゆっくりじゃないよ!!ゆっくりできるよ!!」 おや、それは問題だ。俺はそう言う子まりさの帽子を取り上げた。 「ゆ゛ゆ゛ー!!まりさのぼうしかえして!!それがないとゆっくりできないよ!!」 「それはそれは、良かった良かった。お母さん思いの良い子だよお前は」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ーーー!!ゆっぐりじだいのぉぉぉぉ!!」 俺はしきりに『ゆっくりするのは悪いこと』であると強調していく。 しかし子ゆっくりたちにそんな論理を受け入れられるわけがない。親まりさに苦情を言う子ゆっくりも当然出てくる。 お菓子を食べ終えた親まりさは、すべり台を「ゆ~♪」と滑って子供のように遊んでいる。 子供の分もゆっくりするんだから当然か。 「おかーさん!なんでたすけてくれないでひとりでゆっくりしてるの!!」 「そこにあるおもちゃはまりさたちのだよ!!ひとりじめしないでね!!」 「しょんなおかあしゃんとはゆっくちできにゃいよ~~!!」 「それでいいんだよ!ここでおかあさんがだいひょうとしてゆっくりしてるからみんなはゆっくりしないですむんだよ!! そっちでおかあさんにかんしゃしててね!ゆっくりしないでね!!」 「な゛んでぞんなごどい゛うのお゛ぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!?」 この親まりさの子供に対する態度には、虐待好きの俺も顔負けである。クレイジーだぜ…… つがいや家族の絆を引き裂いて遊ぶ為には、いかにゆっくりの思考を誘導するかが問題になるが、 ここまで俺に追従してくれるとは予想外だ。 一瞬立派かもしれないと思ったが、所詮まりさはまりさだったかな。 そんなことを考えながら、俺は親まりさの乗るブランコを後ろから押してやる。 徐々に振れ幅が大きくなり、勢いを増していくブランコ。前後に振れる度に「ゆっゆっ」と声を出して喜ぶまりさ。 ある高さに達した時、ついに親まりさはぽーんと空中に投げ出される。 「ゆ~ん♪ おそらをとんでるみたい!!」 その様を見つめる子ゆっくりたちの瞳は、親まりさが地面に激突し、怪我をすることへの期待に輝いていた。 一人でゆっくりした罰を受けろ、と。さっきは身を挺して自分達を助けた母親なのにだよ? ひどい話だね。 しかしそんな子供達の様子など視界にも入れず、親まりさはやわらかクッションの上にぽよんと落下し、 そのままクッションの上で気持ち良さそうに転げまわっている。 一人ゆっくりした罰を受けるどころか、ますますゆっくりしてしまっている親まりさ――― その圧倒的ゆっくりっぷりは、まるで運命が味方をしているようにも映っただろう。 あまりに理不尽な現実に、子ゆっくり達は何とも言えない絶妙な表情で固まっている。 「ゆ~!このクッションとってもきもちいいよ!すごくゆっくりできるよ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!なんで!!な゛んでなのぉぉぉぉぉ!!!」 「何でって、あれは加工所でも売ってないような高級ゆっくりクッションだからね。 並のゆっくりじゃ一生触れないような代物だよ。そりゃあ気持ちいいだろうなあ」 「ぞんなごどぎいでないぃぃぃぃぃい゛ぃぃぃ!!」 「おがあざんばっがりずるいの゛ぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!れいぶだちのゆっくりどらないでぇぇぇえぇぇぇ!!!」 「ここはあちこちゆっくりできるものだらけの、さいこうのゆっくりプレイスだよ!! みんなこっちにこれなくてよかったね!!そっちでゆっくりしないでみててね!!」 「「「おがあざんのばがぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」 「ゆゆ!みんなのためにやってることだよ!ゆっくりりかいしてね!!」 ホーントにバカですねぇ。 子供に罵倒されたゆっくりが悲しむ様は何度か見てきたが、こいつはゆっくり出来る喜びの方が勝っているようだ。 子供達に見せ付けるように本能の赴くまま、色々なアイテムを使って存分にゆっくりしている。 思えば、ゆっくり特有の人を見下す態度、他が自分のために動くのが当然というような言動。 それも本能なのだとすれば、他者を見下して「よりゆっくりしている自分」を際立たせることにより、 更なるゆっくりを実現するための無意識の働きなのかもしれない、と俺は思った。 つまり「みんなのぶんまでゆっくりする」為には、そういった優越感も親まりさにとっては重要なのだ。 子供達のためという大義名分、最高のゆっくりプレイスという具体的動機。 ゆっくりするのに充分なお膳立てを得たまりさは、もはや全力でゆっくりすることに何の躊躇も無かった。 「ゆゆゆ!おにいさん、おなかがすいたよ!ゆっくりごはんをもってきてね!!」 「ゆ!れいむもおなかすいたよ!!」 「ゆっくちごはんたべゆ~~!!」 「おっと、もうそんな時間か。用意するから待ってろよ」 ゆっくり達全員から催促され、俺は台所に向かう。 ちゃちゃっと晩飯を作り、俺と同じ献立をお盆に載せ、親まりさのところに持っていく。 そう豪華な食事ではないが、野生のゆっくりにとっては人間の食事というだけで至上のごちそうだろう。 よだれをだらだらと垂らした子ゆっくりどもが、飯を催促しながら足にぽんぽんぶつかって来るが無視。 結局、「ゆぅ~・・・」とか言って萎んでいきながら親まりさに食事を運ぶ俺を見送るしかない。 「ゆ!おそいよおにいさん!」 「悪い悪い、ゆっくりしてたもんでな。お前もゆっくりしてたろ?」 「ゆゆ!もちろんゆっくりしてたよ!!まりさはみんなのぶんもゆっくりするよ!!」 「よーし、そんなゆっくり出来るゆっくりまりさにご飯だぞー」 「ゆー!おいしそうなごはんがいっぱいあるよ!!」 「みんなの分もたくさん食べないとな?」 「ゆっ!そうだね、いただきます!はっふ、うっめ!めっちゃうんめ!すごくゆっくりできるごはんだよ!!」 俺達はしきりにゆっくりしていることを確かめ合っていた。 『ゆっくり』が何を指すのかは、未だに全然解らないが。 板の向こうまで美味しそうな匂いが流れていくので、子ゆっくり達は辛抱たまらないだろう。 脱水症状起こすんじゃないかってぐらいよだれを流しながら、爛々と輝く目で親まりさの食事を見つめる子ゆっくりたち。 「ゆゆ!れれれいむたちにもはやくごはんちょうだいね!!」 「ゆっくちはやくたべたいよ~!」 「おなかがへってしにそうだよ!しんだらゆっくりできないよ!!」 「ゆ゛!?まりざあぁぁぁぞんなこといっちゃだめぇぇぇえぇぇぇ!!」 「ゆ゛ゆ゛!!しんだらえいえんにゆっくりしちゃうよ!!!」 子まりさの『ゆっくりできない』発言に反応した子れいむが子まりさを咎める。自浄作用。 ゆっくり出来ないのは良いことだが、死なれてはつまらないので食事を与えるとする。 予め抜いてきた庭の雑草を子ゆっくりたちの前に放り捨てる。サービスで土は付いたままだ。 「ゆ゛ぅぅぅ!!なにごれぇぇぇえぇぇぇ!!」 「きたないよ!!こんなのごはんじゃないよ!!」 「お前らいつもこんなの食ってるだろう」 「お゛があざんだげずるいよ゛ぉぉぉおぉぉぉぉぉ!!」 「こんなまずそうなくさたべられないよ!!おかあさんとおなじごはんをだしてね!!」 「これじゃゆっくちできないよ!!」 「へぇ~、ゆっくり出来ないのかい」 子れいむや子まりさ達はしまったという顔で、失言をした赤れいむを睨んでいる。 赤れいむは何が悪いのか解らず、目に涙を浮かべたまま姉ゆっくり達の視線に震えている。 「ゆ!いまのみんなにとってさいこうのごはんだね!!みんなはずっとそれをたべてね!!」 「「「ゆ゛ぎぃぃぃぃいい゛ぃぃぃぃぃぃ!!」」」 ごはんをべちゃべちゃ食い散らかしながら、親まりさは子供達に向かって笑顔で言い放つ。 子ゆっくり達は涙を流し、ぎりぎりと歯噛みしながら、 何匹かは失言の赤れいむを攻撃し、何匹かは仕切り板にべちゃべちゃ体当たりしている。 何か俺、親まりさと息が合って来た? 人生に二度とない、貴重な体験かもしれない。 しばらく見ていると、最初は文句を言っていた子ゆっくりどもも空腹には勝てないのか、 ごちそうの良い匂いの漂う中、ばらまかれた雑草をもそもそ食べ始めた。 うなぎを焼く匂いだけでご飯一杯いけた人もいたということだし、これはこれでオツなのかもしれないな。 だが「しあわせー♪」などと言い出すゆっくりは一匹もおらず、親まりさと対照的に重苦しい食卓となった。 もっとも、もしも雑草が美味しかったとしてもそれを口に出そうものなら、 俺に……いや、親まりさに咎められ、更に食事のグレードを下げられるだろう。 なぜなら親まりさのゆっくりは、みんなの分のゆっくり。 子供達がゆっくりしてしまっては、自分が存分にゆっくりできないのだ。それもこれも『子供達のため』。 このパラドックスに対してわずかな疑念が浮かんでも、ゆっくりしたいという本能的欲求に掻き消される。 クックック、この状況……いつまで続けようかな? よく考えてなかった。 しかしこの分では限界も近そうだ。ゆっくり見守っていくとするか。 やがてゆっくり達は食事を終え、就寝の時が近付いてきた。 あくびをした親まりさは、先ほどのクッションをベッド代わりにうとうととしていた。 と、そこに俺は小さなタオルケットをかけてやる。 「ゆ?おにいさん、これはなに?」 「掛け布団だよ。寝汗が冷えて風邪でもひいたらゆっくりできないだろ? よく汗を吸うし、風も通すから暑苦しくもならないぞ!」 「ゆ!とってもやわらかくてきもちいいよ!これならゆっくりねむれるよ・・・」 「それからこれもな」 ゆっくり用耳当てを親まりさに見せる。 「ゆ!こんどはなあに?」 「これをつけると静かになって、ぐっすり眠れるようになるよ。 風の音とか犬の鳴き声とかで起こされちゃったらゆっくり出来ないだろ? 朝になったら取ってやるよ。ほうら」 「ゆゆ!すっごくしずかになったよ!ありがとうおにいさん!!」 ゆっくりに耳なんてものがあるのか甚だ疑問だったが、効果は発揮されているようだ。 しかし今の俺って、まるでゆっくり愛でお兄さんだよな。正直気分悪いが、何事も経験だな。 それに後ろの方で苦しんでるゆっくり達もいるわけだし。 俺は親まりさにおやすみと声をかけて頭を撫でると、親まりさは小さく身体を震わせ、すぐに寝息を立て始めた。 親の過剰なゆっくりっぷりに、「ゆ゛!ゆっぐりねるなぁぁぁあぁぁぁ!!」「おがあざんはねむれずにくるしんでね!!」 などと呪詛の声を送っていた堪え性のない子ゆっくり達だったが、耳当てによって何も聞こえなくなったことを悟ると、 さんざん喚き倒して疲れたのか、みんなうとうとと夢の世界に入り始めた。 と、そこで俺が一喝。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「「ゆっ!?ゆっくりしていってね!」」」」」」 俺の挨拶に対し、本能的に子ゆっくり達がお決まりの返事をする。 こればっかりは逆らえないのでしょうがない。たとえゆっくりが何をしている時であっても。 「ゆ!おにいさんなにするの!!やめてね!!」 「まりさたちはつかれたからゆっくりねるんだよ!!」 「ねみゅれないよ~!!」 「え~? だからお母さんの眠った夜中ぐらい、君達にゆっくりしても良いよって言ってるんじゃないか。 ほら、ゆっくりしていってね!」 「「「「「「ゆっくりしていってね!ゆ゛~~!!」」」」」」 ゆっくりって、本当にマヌケな生き物ですねえ。ちなみに親まりさは耳当てをしてるのでぐっすり夢の中だ。 その安眠を保障するためにも、子ゆっくり達をゆっくり眠らせるわけにはいきませんもんねー。 とはいえ、俺も人間なので一晩中ゆっくりに付き合って起きてるわけにはいかない。 そこでこいつの登場だ。河童謹製、蓄音機~。 これは音を記録し、再生できる機械だ。更に自動ループ機能もついている。作業用BGMとか流す時に使える。 まあ作業っつっても主に虐待なんスけどね。 で、今回はゆっくりが「ゆっくりしていってね!」と言った時の音声を記録したものを、一晩中ループさせ続ける。 声は数秒置きに流れる。眠りに落ちつつある子ゆっくりを確実に引きとめ、覚醒させるだろう。 ゆっくりに止められないように高い台に置いて、セット完了だ。 いきなり知らないゆっくりの声が流れ出し、子ゆっくりたちは戸惑いの表情を浮かべた。 《ゆっくりしていってね!》 「「「「「「ゆっ、ゆっくりしていってね!ゆぅ・・・」」」」」」 《ゆっくりしていってね!》 「「「「「「ゆっくりしていってね!ゆ゛があ゛ぁぁぁぁ!!」」」」」」 《ゆっくりしていってね!》 よしよし、ちゃんと動作しているな。 ゆっくりは寝不足が原因で死ぬことはないと噂に聞いたので、実験してみる次第だ。 機械の作動を確認した俺は、「おやすみ~」と小さく声をかけ、部屋を出て自分の寝室に向かった。 寝る時は俺も耳栓をした。子ゆっくりの悲鳴が聞こえてきてうるさいのなんの。 明日に備えて、俺もゆっくり眠らないとね。 続き このSSに感想を付ける